La mer et la mère 海と母
受講生の方に仏作文をしていただいた時に、à la mer (海で)と書くところを à la mere (母で)と書いていらっしゃいました。なんだか素敵なスペルミスだな~と思うと同時に、三好達治の詩を思い出したのでご紹介します。
「郷愁」 三好達治
郷愁
蝶のやうな私の郷愁!……。蝶はいくつか籬(まがき)を越え、午後の街角に海を見る……。私は壁に海を聴く……。私は本を閉ぢる。私は壁に凭(もた)れる。隣りの部屋で二時が打つ。「海、遠い海よ!と私は紙にしたためる。——海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる。そして母よ、仏蘭西(ふらんす)人の言葉では、あなたの中に海がある。」
(詩集『測量船』1930年刊)
漢字の「海」の中には「母」という字がはいっており、フランス語の “mère” の中には “mer” という文字がはいっている。よく「母なる海」とも言うので、この2つの語には何となく関連がありそうです(ちなみにこの2つの単語の発音は、どちらも [mɛ:r] で同じです)。
けれどもラテン語を調べてみると、
mer はラテン語で mater
mère はラテン語で mare
なので、この2つの語の語源は同じではありません。他の言葉を見てみると、英語では sea / mother 、スペイン語では mar / madre と発音も形も同じという訳ではありません。それなのに、フランス語と日本語には「母と海」になんとなく関連があるというのは、面白いですね。
La mer et l’enfant – Céline Dion
では、この 「海と母」の関係にちなんで、Celine Dion の素敵な歌をご紹介したいと思います。
La mer et l’enfant
Je suis la mère, tu es l’enfant
Aucun lien n’est plus sage
Tu es le sable, moi l’océan
Tu es mon seul rivage
Je te recouvre chaque instant
De mes vagues de passion
Comme une mer de sentiments
Et d’affection
De toute ma tendresse
Mes vagues te caressent
Comme un enfant face à la mer
Souriant et apaisé
Tu trouves en moi quelques repères
Notre rêve est réalisé
Ne pleure plus, je te rassure
Car c’est la mer qui efface
Les cicatrices et les blessures
Écrites dans le sable à la surface
【和訳】
海と子供 La mer et l’enfant
私は母、あなたは子供
これよりも賢明な関係は存在しない
あなたは砂、私は大海
あなたは私のたったひとつの浜辺
いつもあなたの中に
私の情熱の波を見つける
まるで感情と
愛情の海のように
私のありったけの愛で
私の波があなたを撫でる
海を見る子供のように
穏やかに微笑んでいる
あなたは私の中に
いくつかの目印をみつける
私たちの夢は実現される
もう泣かないで、私が慰めてあげる
なぜなら海は
砂の上に書かれた傷跡やけがを
消すことができるから
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