否定の冠詞 de (d’)

最終更新日:2024年3月22日

今日は「否定の冠詞 de (d’)」というものを見ていきたいと思います。

J’ai une voiture. 「私は車を持っている」

これを否定形にすると、

Je n’ai pas de voiture. 「私は車を持っていない」

となります。この Je n’ai pas de voiture. の de が「否定の冠詞 de (d’)」と呼ばれるものです。

 

フランス語では、否定文中の直接目的語には「不定冠詞 (un, une, des) や部分冠詞 (du, de la) を使わずに、「否定の冠詞 de (d’)」を使います。

 

  • J’ai un chien. → Je n’ai pas de chien.
  • Il y a des nuages dans le ciel. → Il n’y a pas de nuages dans le ciel. 
  • Il y a du vin sur la table. → Il n’y a pas de vin sur la table. 
  • Tu veux de la bière? → Tu ne veux pas de bière ?


「私は犬を飼っていない。」

「空には雲がない。」

「テーブルの上にワインがない。」

「きみはビールが欲しくないの?」

 

否定の冠詞 de (d’) がつかない場合 / Ceci n’est pas une pipe.

さて、ベルギーのシュルレアリスムの画家、マグリット(René Magritte)の作品に、パイプの絵の下に「これはパイプではない」という言葉が添えられている絵を見たことがあるかもしれません。

Ceci n’est pas une pipe. 

これはパイプではない

これはなぜ Ceci n’est pas de pipe.  ではないのでしょうか?

 

上で「フランス語では、否定文中の直接目的語には「不定冠詞 (un, une, des) や部分冠詞 (du, de la) を使わずに、「否定の冠詞 de (d’)」を使います。」と書きましたが、Ceci n’est pas une pipe. の “une pipe” は直接目的語ではなく「主語の属詞 attribut du sujet」と考えられます。

直接目的語

 

通常は「動作の動詞」のあとにくる

  • Manger : Elle mange une pomme. 彼女はリンゴを食べる
  • Écrire : Nous écrivons une lettre. 我々は手紙を書く
  • Lire : Tu lis un livre. きみは本を読む

 

主語の属詞

 

通常は「状態の動詞」 (être, paraître, rester, sembler, avoir l’air (de), passer pour など) のあとにくる

  • Être : Il est fatigué. 彼は疲れている
  • Paraître : Elle paraît heureuse. 彼女は幸せそうだ
  • Sembler : Ça semble difficile. それは難しそうだ

このようにみると、Ceci est une pipe. の une pipe は主語の属詞と考えられ、否定形になってもそのまま une pipe となります。

最後に、否定の冠詞 de (de l’) は直接目的語の前に不定冠詞か部分冠詞がつく場合なので、定冠詞は否定形になってもそのままです。

J’aime le vin. → Je n’aime pas le vin. 私はワインが好きではない

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