フランス語の名詞に冠詞がつかない場合:beaucoup de ~/avoir besoin de~

最終更新日:2024年3月22日

今日も「フランス語の名詞に冠詞をつけない場合」シリーズを続けていきたいと思います。というのも、私がフランス語学習で一番苦労したのはこの冠詞の使い方だからです。いつも言っているように、基本的にフランス語の名詞の前には必ず冠詞をつけますが、つけない場合もきちんと法則が決まっています。正しく冠詞が使えるようになるには「つけない場合」を覚えるのがよいと思います。

フランス語の名詞に冠詞が付かない場合: pomme de terre はpomme de la terreではない

フランス語の名詞に冠詞が付かない場合 : pas de + 名詞

フランス語の名詞に冠詞がつかない場合: lundi prochain それとも le lundi prochain?

数量表現の語のうしろに来る名詞には冠詞がつかない
【数量表現 de】 + 無冠詞名詞

数量表現の語というのは:

  • beaucoup de  (たくさんの)
  • plus de (~より多くの)
  • trop de (あまりに多くの~)
  • assez de (十分な~)
  • autant de (~と同じくらいの)
  • moins de (~より少ない)
  • peu de (わずかな~)
  • plein de (たくさんの~)

などです。

例えば

Il y a beaucoup d’arbres fruitiers dans ce jardin.
この庭にはたくさんの果物の木がある。

となります。通常でしたら「数本の木」は 不定冠詞をつけて« des arbres » となりますから、文法をしっかり学んだ人は

Il y a beaucoup de des arbres fruitiers dans ce jardin. (←間違い)
または
Il y a beaucoup des arbres fruitiers dans ce jardin.  (←間違い)

としたくなりますが 、“beaucoup de” の後にくる名詞には冠詞をつけないので注意してください。「beaucoup de + 冠詞なしの名詞でひと固まり、考えましょう (英語の lots of ~)。

 

ちなみに”beaucoup de” の後の名詞が母音から始まる場合には、上の例のように d アポストロフ (d’) になります。

beaucoup d’arbres (beaucoup des arbres)
beaucoup d’enfants (beaucoup des enfants)
beaucoup d’amis  (beaucoup des amis)

 

別の例をみてみましょう。

Il mange trop de viande. 彼は肉を食べすぎる。

通常、「肉 = viande」は数えられない名詞として “de la viande” のように部分冠詞をつけますが、trop de のような数量表現の後には冠詞はつけません。従って trop de de la viandeではなく
trop de  de la viande となるわけです。

 

また、以下のような数量表現の語のうしろに来る名詞にも冠詞はつきません

  • un kilo de (1キロの~)
  • une heure de (1時間の~)
  • un morceau de (一切れの~)
  • une bouteille de (ひと瓶の~)
  • une tranche de (一枚の~)
  • un paquet de (ひと包みの~)
  • une goutte de (一滴の~)

例えば

Je voudrais quatre tranches de jambon, s’il vous plaît.
ハムを4枚いただきたいので、お願いします。

ここでも通常 « jambon (ハム)»は数えられない名詞なので、部分冠詞の « du » をつけて”quatre tranches de du jambon” としたくなりますが、数量表現の “XX tranche de” のあとは冠詞をつけないので “quatre tranches de jambon” となります。

上のような数量表現は日本語の「助数詞」に似ている気がしませんか。助数詞というのは例えば「枚」「冊」「本」「匹」というような言葉を示します。“une bouteille de vin”は「1本のワイン」または「ワイン1本」と日本語の助数詞を使って訳せますが、このような数量表現の場合にも “de” までをひと固まりと考え、そのうしろに冠詞のない名詞を置けばよいと思ってください。

une goutte d’eau (一滴の水)

dix mètres de tissu (10メートルの布)


ただし、数量表現の後ろに来る名詞が限定される場合には、冠詞がつきます

例えば

Beaucoup des arbres fruitiers que j’ai plantés ont souffert du froid.
私が植えた果物の木々の多くが、寒さに苦しんだ。

最初にあげた例文 Il y a beaucoup d’arbres fruitiers dans ce jardin. との違いはなにかというと、

  1. Il y a beaucoup d’arbres fruitiers dans ce jardin. 
  2. Beaucoup des arbres fruitiers que j’ai plantés ont souffert du froid.

 

  1. の « arbres » の前につく冠詞は、不定冠詞の « des » :一般不特定の、多くの果物の木々
  2. の « arbres » の前につく冠詞は、定冠詞の « les »私が植えた多くの果物の木々

 

1.のように beaucoup de の後に不定冠詞のつく名詞が来る場合には、de の後の冠詞は省略されますが、「私が植えた果物の木々」のように名詞が限定されて定冠詞が付く場合には定冠詞はそのまま残り、 « de + les = des » 法則が適応されて « beaucoup des »となるのです。

beaucoup de + les arbres fruitiers que j’ai plantés → beaucoup des arbres fruitiers que j’ai plantés

つまり、「数量表現の語のうしろに来る名詞には冠詞がつかない」というのは、正確には「数量表現のうしろに不定冠詞または部分冠詞のつく名詞がくる場合には、それらの冠詞は省略される」のです。

 

形容詞表現+de、動詞表現+de のあとの不定冠詞の複数形 (des)、部分冠詞 は省略される

次に、前置詞 “de” がつく形容詞表現、動詞表現の場合の冠詞の省略を見てみましょう。

La salle est remplie de spectateurs.  ホールは観客でいっぱいだ。

être rempli(e) de~ 「~でいっぱいの」

通常「観客」は一人、二人と数えられるので不定冠詞をつけて « un spectateur » のように言えますすが、ここでは観客がたくさんいるので複数形で « des spectateurs » となるはず。ですがこのように不定冠詞の複数形も、前置詞 « de » の後に置く場合には

être remplie de des spectateurs  とはせずに
不定冠詞の複数形 “des” は省略されて « être remplie de spectateurs » となります。

 

Elle est préoccupée de santé.  彼女は健康について心配している。

être préoccupé(e) de~ 「~が気がかりな、(de を)心配した 」

一般的な「santé(健康)」について話す場合には、通常部分冠詞をつけて « de la santé »とします。しかし前置詞 « de » の後にくる場合には

être préoccupé de de la santé とはせずに

部分冠詞の “de la” は省略されて« être préoccupé de santé » となります。

 

J’ai besoin de lunettes pour lire.  私は読むのに眼鏡が必要だ。

avoir besoin de~「~を必要とする」

一般的に「メガネ」という場合には des lunettes(眼鏡は常に複数形になります)と言いますが、前置詞の de の後にくる場合には

avoir besoin de des lunettes とはせずに
不定冠詞の複数形は省略されて « avoir besoin de lunettes »となります。

 

前置詞 de + 不定冠詞の複数形・部分冠詞 = de

 

de + des = de (des ではない!)

de + du = de 

de + de la = de

 

前置詞 “de” の後に、un, une や定冠詞が来る場合には?

 

ただし、前置詞 “de” の後に省略されるのは、部分冠詞と不定冠詞の複数形 (des)だけです。ちなみに、不定冠詞が単数形(un, une)の場合や定冠詞の場合にはどうなるのかを見てみましょう。

J’ai besoin d’un dictionnaire pour lire ce livre.
私はこの本を読むには辞書が必要だ。

このように、avoir besoin de (~が必要である)という熟語の最後に前置詞の « de »がついていますが、この後ろに「ある一冊の辞書」という不定冠詞の単数形がつく名詞が来る場合には «un» は保たれます(私にはある一冊の辞書が必要)。

 

では、定冠詞がつく場合はどうなるのかを見てみましょう。

J’ai besoin de l’avis des autres.
私は他の人の意見が必要だ。

ここでは一般的な意見ではなく「他の人の意見」と限定されるので、 « l’avis des autres » のように定冠詞の « le »がつきます。このように定冠詞の場合には « de » の後に冠詞の省略は起きていません。

 

では、次の場合はどうでしょうか。

J’ai besoin des lunettes que j’utilise tous les jours.
私はいつもかけている眼鏡が必要だ。

先ほどは J’ai besoin de lunettes pour lire. でしたが、今度はなぜ des lunettes なのでしょうか?

それは、ここでは lunettes は「一般的にどこでもある、とある眼鏡 “des lunettes”」 ではなく、”les lunette que j’utilise tous les jours”.「私がいつもかけている眼鏡」と限定されているからです。この場合には合体の規則通りに 【de + les = des】となるので、des lunettes とするわけです。

 

また、de の後に冠詞ではなく所有形容詞が来る場合にも、省略はおこりません。

J’ai besoin de mes lunettes.

私は自分のメガネが必要だ。

 

Il est jaloux de son succès.
彼は彼(彼女)の成功に嫉妬している。

 

Je suis confiant de ma capacité.

私は自分の能力に自信を持っている。

 


以上、名詞の前に冠詞が付かない(省略される)場合をまとめてみました。いろいろな規則があってややこしいですが、「de のつく数量表現のあとは無冠詞」、「avoir besoin de のように de が含まれる表現の後に不定冠詞の複数形 des や部分冠詞が来る場合には、省略される」と覚えるとよいでしょう。

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4件のコメント

  1. Muchas gracias. ?Como puedo iniciar sesion?

  2. de l’eau とd’eauの違いがこれでやっと判りました。スッキリです!

  3. 疑問が整理されました。今回を糧に勉強を続けます

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