フランス語の名詞に冠詞がつかない場合:pomme de terre は pomme de la terreではない

最終更新日:2020年8月20日

以前にフランス語の名詞に冠詞が付かない場合として、「pas de + 名詞」の例をあげました。フランス語は基本的に名詞の前には必ず冠詞をつけますが、この他にも付けない場合があるので見ていきたいと思います。

フランス語の名詞に冠詞が付かない場合:pas de +名詞

フランス語の名詞に冠詞がつかない場合: lundi prochain それとも le lundi prochaine?

フランス語の名詞に冠詞が付かない場合 (1):”de”をつけて他の名詞の補語になる場合

私がまだフランス語初心者のころ、いつも冠詞をつけ忘れるクセがあったために、フランス人から「フランス語ではいつも冠詞をつけるようにしなさい」とアドバイスを受けたことがあります。それからはどんな名詞にも必ず冠詞をつけるように意識しました。

ところがある時、私が魚介類のことを”fruits de la mer” と言ったところ、「それは “fruits de mer”だ」と言われました。そこで「なんで?名詞の前には必ず冠詞をつけろっていったじゃない。どうして”fruits de la mer”じゃないの?!」とフランス人に反論して困らせた覚えがあります。


fruits de mer(海の幸=貝やカニ、エビなどを示し、魚は含まれません)

 

フランス語はかなり規則がしっかりと決まっているロジックな言葉ではありますが、このような「例外」があると、学習者は悩んでしまいます。しかしこの例外にもロジックがあります。

そのロジックとは、「ある名詞が、”de”または“à”をつけて他の名詞の補語になる場合には、その名詞の前には冠詞をつけない。」です。

例えば ”fruit de mer”の”mer (海/女性名詞)”は、 de を伴って前にある名詞の補語となるため、mer の前に定冠詞の女性形 ”la”はつかないのです。

けれどもこのように説明されても難しいので、私はこのように解釈しています。

2つの名詞をつなげてひとつの単語にする場合には、後ろの名詞の前に冠詞はつけない。

fruits de mer” はこのひと固まりで「海の幸(エビや貝類などで、魚は含まない)」という意味をなす、ばらばらにできない名詞です。これを “fruits de la mer” と言うと「海の果物(海で採れる果物)」という別の意味になってしまいます(海岸沿いになる何かの果物を指すのかもしれません)。

同じように「山菜」のことを “légume de montagne”と言いますが、これを”légume de la montagne”というと、「山の野菜(山で採れる野菜)」の意味になり、「山菜」とは違った意味になってしまいます。“légume de montagne”はあくまでもひとかたまりの単語なのです。

 

このように、2つの名詞が組み合わさって一つの意味をなす場合、de の後にくる名詞の前には冠詞がつきません。同じような単語は他にもたくさんあります:

une carte de visite (名詞)

une carte d’étudiant (学生書)

une carte identité (身分証明書)

une salle de classe (教室)

une salle de cinéma (映画館)

une salle d’attente(待合室)

une salle de bain (浴室)

un ticket de métro (地下鉄の切符)

un ticket de cinéma (映画の切符)

une idée de génie (天才的なアイディア)

un homme de génie (天才(的な人)

une agence de voyage (旅行会社)

des pommes de terre (ジャガイモ)

たしかに« pommes de terre »を « pomme de la terre »と言ってしまうと、「大地のリンゴ」というまったく別な食べ物になってしまいますねよね。(個別では、pomme = リンゴ、terre = 大地 という意味)


私の言語学の教授がよく、

“Un œil de bœuf n’est pas un œil de veau. »  œil =目、 bœuf =牛、 veau=子牛

と言っていたのが思い出されました。これは一瞬、「牛の目は子牛の目ではない」という意味なのかと思いますが、de の後に冠詞がないことに注目してください。 « un œil de bœuf »というのは、フランスの家についている丸型(または楕円型)の窓のことなのです。

« un œil de bœuf »はこの2つの名詞の組み合わせではじめて「丸窓」という意味になるため、 たとえ窓が小さくても« bœuf (牛)» を« veau (子牛)» に変えてしまっては、この言葉はまったく意味をなさなくなってしまいます。« un œil de bœuf » は常に « un œil de bœuf »であるわけです。

これは 、« pomme de terre (じゃがいも)»が « pomme de sable (sable=砂)»には絶対にならないのと同じですね。 « de »の後の名詞に冠詞がついていなかったら、「前の名詞と組みあわせて1つの単語なんだな」と考えるとよいと思います。


ただし、以下のような場合には de の後にくる名詞に定冠詞がつきます。

un arrêt de bus (バス停):一般的なバス停を指す

 

un arrêt du bus 91 (91番線バスの停留所):ある特定のバス停に限定されるので定冠詞の”le”がつく=un arrêt de « le bus 91 » → de とleが合体してdu となる

des clés de voiture (車の鍵):すべての車の鍵を指す

 

les clés de la voiture de Paul (ポールの車の鍵):”ポールの車”に限定されるので定冠詞の “la”がつく(車は女性名詞)

de の後ろにくる名詞が特定のものに限定されると、たちまちその名詞に定冠詞がつきます。

“un arrêt du bus 91” が “un arrêt” のように不定冠詞なのは、「たくさんある91番線バスの停留所のうちの1つ」だからです。

フランス語の名詞に冠詞が付かない場合 (2) : “à”をつけて他の名詞の補語になる場合

今度は、前置詞の “à” がついてひとつの名詞になっている場合です。

un couteau à pain (パン用ナイフ)

une brosse à dents (歯ブラシ)

une corbeille à papiers (ゴミ箱)

une tasse à thé (ティーカップ)

une tasse à café (コーヒーカップ)

un moulin à vent (風車)

ここでは “à”という前置詞が「~のための (pour)」という意味をなしていると考えるとよいでしょう。un couteau à pain は ”un couteau pour couper le pain” (パンを切るためのナイフ)という意味です。

このように、”à” を「~のための (pour)」に置き換えられると考えた時、次の単語との違いがわかるでしょうか?

前置詞 “à”の後の名詞に冠詞が付く場合

ただし、以下の場合には “à”の後の名詞に冠詞がつきます。

une glace à la vanille(バニラアイスクリーム)

冠詞がつかない上のパターンとの違い分かりますか?

バニラアイスの場合、“à”は「~で、~で作った(avec)」という意味で使っています。つまり「バニラで作ったアイス」です。

 

同じように、

une tarte au citron (レモンタルト)      au = à + le

un pain au chocolat (チョコレートパン) au = à + le

de la peinture à l’huile (油絵の具)

このように、“à” が ”avec” の意味を成す場合には、“à” の後の名詞には定冠詞がつくわけです。

 

ロジックがあるとは言え、以上のようにいろいろなケースがあって難しいですよね。これはどう解決すればよいのでしょうか?

ずばり、「なんども見たり聞いたりしてそのまま覚える」ことで。フランス語がネイティブでない我々は、文法は知識として知っておくべきですが、発話するときは反射神経が必要です。「歯ブラシは “une brosse aux dents” ではなくて  “une brosse à dents”」と一度理解をした後は、理屈を考えずに反射的に “une brosse à dents”と口から出るように慣れましょう。練習を繰り返して本番では反射的に使えるようにする。外国語を話すのはスポーツや楽器演奏に似ているかもしれません。

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