フランス留学に目的は必要か?(2)

最終更新日:2020年2月19日

フランス留学に目的は必要か?のコラムに、「留学に目的は必要」と書きましたが、「では、目的が分からなかったら留学しても無駄ですか?」という質問をいただきましたので、私の考えを書いてみたいと思います。

私は何かの行動を起こす上で、なんらかの目的は必要だと思っています。目的は自分を動かすエンジンのようなものだからです。若いうちは自分が本当にやりたいことなんてまだ分からないですから、最終目的でなくても全くかまいません。とりあえず1年先ぐらいの目的(目標)を決めます。

そして、その目的に向かってできる限り一生懸命進みます。するとある時、一生懸命やってきたにもかかわらず、それがうまくいかない場合があります。その時、1日、2日は落ち込んでもしかたがないですが、その後はすぐに別の道(plan B)に方向転換するのです。「そんなにすぐに方向転換してもいいの?」と思うかもしれませんが、それまで自分が決めた目的に向かってできる限り努力をしてきたにも関わらず、それに到達できなかった場合には、私は「それは自分の道ではなかったんだ」と思うことにしています。(自分の努力が足りなかったと思う場合には、もう少し努力を続けますが。)

私の経験をあげてみましょう。大学受験の頃、私は大阪で有名な私立大学を数校受けましたが、結局受かったのは1校だけでした。そこが一番行きたかった大学かといえばそうでもなかったので、1校しか受からなかった時には落ち込みましたが、それがきっかけで、私はフランス語を学ぶことになったのです。小さいころから海外に興味を持っていた私は、他の志望校では「国際関係学科」「英文科」などの学科を選択しており、「英語以外の語学もいいかも」と思って希望学科にフランス文学科を選択していたのは、受かったその1校だけ。もし他の大学に受かっていたら、フランス語なんてやっていなかったのですから、まさにそこが人生の一つ目の分岐点だったのでしょう。今思えば(と思うことがその後の人生で何度もあるのですが)、その大学の受験科目の世界史を受けている際に、あまりにも自分が勉強していた内容がそのまま出たので、「これは受かる」と感じました。また大学でフランス語を学び始めてから少しした頃、自分が大好きだった作曲家や画家、子供用の本作家がみなフランス人だったことを知った時には、「これはやっぱり運命だったんだな」と思ったわけです。

これに似たようなことがまだあります。私が2人目の子供を産んだ後、1年間仕事をしていない時期がありました。そして産後ちょうど1年後、いろいろと悩んだ末に正社員では家庭のこととの両立が難しいと考え、契約社員という形で復帰することに決め、人材派遣の会社から紹介されたドイツ系の企業の面接を受けました。仕事内容はドイツ人の上司のサポートをする仕事で、その方は私を気に入ってくださり早速採用となりました。本音を言うと、今まで深くかかわってきたフランス系の企業がよかったのですが(しかも、本当は自分が興味あるアパレルや化粧品業界がよかったのですが)、これも経験と思い、復帰の準備を始めました。

ところが数日後、その会社から採用取りやめの連絡が来たのです。連絡をくださった方によると、私がサポートする予定だったドイツ人の方が急遽入院をされ、いつ退院できるかわからないとのこと。残念ならがその会社では働けなくなってしまいました。その時は「もう私は派遣社員にすらなれないのか」とかなり落ち込みましたが、それからしばらくして、1年前まで働いていた化粧品会社から戻ってきてほしいとの連絡があり、時短の契約社員としてまた同じ会社に戻ることになりました。

それから1年間働きましたが、職場で自分の能力を全く生かせていないことにストレスを感じ、自分でビジネスをしようと決意します。実は2人目を出産したころから考えていたのですが、ようやくそこで実行に移したのです。そして、夏のバカンスの時に南フランスで見かけた色とりどりの香りの石鹸を日本で輸入販売することに決め、ビジネスプランを練り始めます。その石鹸はプロヴァンス地方の野外マーケット(マルシェ)で裸で山づみに売られているような製品だったので、通常の化粧品と違い、箱もラベルもなにもありません。どこが製造元なのかも全くわからない状態でしたが、インターネットのおかげで何とかフランスの製造元をつきとめ、日本に輸入したい旨を申し込みます。(私はもともとフランスの石鹸OEMメーカーで勤めていたことがあり、日本の化粧品会社でも海外事業部で輸入担当だったため、その辺の手順はよく分かっていました。)フランスの製造元の方から、その会社のアジア地区担当はシンガポールにある会社だと聞き、さっそくシンガポールの会社にコンタクトをとりました。

そしてそのシンガポールの会社名を見たとき、私は思わず目を疑いました。私が以前に採用されなかったドイツの会社(SAPという会社でした)と全く同じ名前だったからです。ただしシンガポールの会社のSAPという名前は、”Savonnerie Artisanale de Provence (プロヴァンス手工業石鹸工場)”という南仏の本社の頭文字をとったものでした。このときまた、「私があのとき採用されなかったのは、運命だったんだ」と思いました。私がドイツのSAP社に行きかけた時に、何かの見えない力が「そのSAPじゃないんだよ!」と、私に方向転換をさせたのだと思ったのです。

 

このような例は、いままでの人生でまだまだあります。フランス留学中に通訳養成学校の入学試験を受けて落ちたこともありましたし、ある学校の教員採用に応募して受からなかったこともあります。でも長い目で見ると、その道に行かなくてよかったと分かるのです。以来私は、「自分がやろうと決めてがんばったことが実現しなかった時には、それが自分の道ではなかったからだ」と思うようにしています。

ですからみなさんにも、留学する際にはとりあえず何かの目的を決めていただきたいと思います。その時に興味があることでいいでしょう。そしてそれに向かって自分なりに精一杯努力をし、その結果、目的に到達しなかったり途中で別の目的が見つかったら、方向転換をしてよいと思います。「どうしてその道がだめだったのか」は、後から分かります。そしてその理由に納得するでしょう。やるときは目的をきめてそれにまっすぐ進み、それがだめだったら(落ち込みすぎないで)柔軟に方向転換をする。こうすることで、いろいろな道が開けていくのではないでしょうか。

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