間接目的語をうける人称代名詞 lui, leurと中性代名詞の y の違い

最終更新日:2023年2月5日

今日は間接目的語人称代名詞の lui / leur などと、中性代名詞の y の使い方について整理したいと思います。どちらの代名詞も間接目的語 (à~) を受けますが、いったいどのように使い分けるのでしょうか。

間接目的語人称代名詞 : me, te, lui, nous, vous, leur

間接目的語人称代名詞は、以下の表の青色の人称代名詞になります。

間接目的語人称代名詞は【前置詞の à  + 人】を受けて、「私に、君に、あなたに、彼/彼らに、彼女/彼女らに」というように言い換えることができます。この「人を受ける」ということが重要で、これを忘れていると後に出てくる中性代名詞の y と混同してしまうので注意をしてください。

例えば:

Je téléphone à Paul. 私はポールに電話をする。

 

を、間接目的語人称代名詞で置き換えると

 

Je lui téléphone.  私は彼に電話をする。

となります。

では次に、中性代名詞の y の使い方を見てみましょう。

中性代名詞の y

①場所を表す補語として

中性代名詞の y は、その前に出てきた「場所を表す前置詞を含んだ名詞句」を受けて「そこに、そこで」という意味を表します。

ーTu vas à la boulangerie aujourd’hui? きみ、今日パン屋に行く?

ーOui, j’y vais cet après-midi.   うん、午後にそこに行くよ。

à la boulangerie のように前置詞の à を含む名詞句だけでなく、sur や dans などその他の前置詞を含む場所を表す名詞句も y で置き換えることができます。

ーEst-ce que la clé est sur mon bureau? 鍵は机の上にある?

ーNon, elle n’y est pas.  いや、そこにないよ。


Alex vit en France. Il y travaille depuis 20 ans.

アレックスはフランスで暮らしている。彼はそこで20年前から働いている。

 

②動詞の間接目的語として

もうひとつの使い方として、前置詞の à によって目的語が導かれる動詞の場合、前置詞句の [à+名詞] の部分を y で置き換えることができます。

Je pense à mon avenir, et j’y pense très souvent.
私は自分の将来のことを考えているし、とても頻繁にそれを考える。

 

さて、ここからよく注意をして読んでください。

ただし、前置詞句の中の名詞が「物」 ではなく「人」 の場合には、y で受けるのではなく [à + 人称代名詞の強勢形] の形にします。

例えば、

Je pense à Pierre. 私はピエールのことを考える。

を、「私は彼のことを考える」と代名詞を使って言いたい場合には、

Je y pense.  ではなく、

Je pense à lui.  のように [à + 人称代名詞の強勢形] を使います。


ここで、

「あれ? Je pense à Pierre. は Je lui pense. とならないんだっけ?」

と思った方はいませんか? Je pense à Pierre の à Pierre は間接目的語人称代名詞の lui では受けらません。たしかに à Pierre は間接目的語なのですが、どうしてだめなのでしょうか?

実は、間接目的語人称代名詞で受けられる時に使われる動詞というのは、「伝達・コミュニケーションの動詞」と呼ばれるものなのです。

例えば:

  • Je parle à Emilie. ⇒ Je lui parle.
    私はエミリに話す

 

  • Elle répond à sa mère. ⇒ Elle lui répond.
    彼女は母親に返事をする

 

  • Il prête sa voiture à sa sœur. ⇒ Il lui prête sa voiture.
    彼は姉(妹)に車を貸す

伝達・コミュニケーションの動詞というのは、基本的に「人に○○を伝える」という意味を持っています。

上のような伝達・コミュニケーションの動詞は、うしろに来る間接目的語が「人」なので、
[à + 人] は 間接目的語人称代名詞で置き換えられます。

 

ところが以下のような動詞の場合は「人に伝達をする動詞ではなく」、うしろに「物」がくる場合と「人」がくる場合があります。

【間接目的語に「物」と「人」がくる動詞】

(伝達・コミュニケーションの動詞ではない)

 

  • penser à ~ 「~のことを考える」
  • tenir à~「~を大切にする、愛着を抱く」
  • rêver à 「~に思いを巡らす」
  • s’intéresser à「~に興味をもつ」
  • s’attacher à「~に愛着をもつ」
  • s’adresser à 「~に問い合わせる」

 

このように、前置詞の à によって目的語が導かれる動詞の間接目的語は、「物」の場合には中性代名詞の y で受けます。

 

Tu penses à ton examen de demain? ーOui, j’y pense.
きみは、明日の試験のことを考えてるの?

 

Tu t’intéresses au foot? ーOui, je m’y intéresse.

きみは、サッカーに興味があるの?

 


では間接目的語に「人」がくる場合にはどうなるかというと、上のピンクの枠内で見たように、中性代名詞の y で受けるのではなく、[à + 人称代名詞の強勢形] になります。

 

Tu penses à Thomas? ーOui, je pense à lui.
きみ、トマのことを考えてるの?

 

Tu t’intéresse à Emma? ーOui, je m’intéresse à lui.

きみ、エマに興味があるの?

このように、動詞が「伝達・コミュニケーションの動詞」の場合には、間接目的語を人称代名詞の (lui, leur など) で置き換えますが、そうではない動詞(前置詞の à によって目的語が導かれる動詞)の場合には、間接目的語に「物」が来ている場合には中性代名詞の y で置き換え、間接目的語が [à + 人] になる場合には、[à + 人称代名詞の強勢形] にするので気を付けてください。

 

「伝達・コミュニケーションの動詞」: 間接目的語は、人称代名詞で受ける

  • Je parle à Alex.   ⇒ Je lui parle.

 

「それ以外の動詞」:間接目的語は、中性代名詞か人称代名詞の強制形で受ける

  • Je pense souvent à mon avenir.  ⇒ J’y pense souvent.
  • Je pense à Alex. ⇒ Je pense à lui.

 

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