フランス語会話における否定形の « ne »の消滅について
フランス語を本でしっかりと学んだはずのに、実際の会話で聞き取れないことがよくありますよね。それは、その言葉を発音していないからかもしれません。ここでは、「フランス語会話における否定形の « ne »の消滅」についてを見ていきましょう。
フランス語の否定形
フランス語の肯定文を否定形にするには、動詞を ne [ヌ] とpas [パ] ではさみます。neだけをつけて pasを忘れる方もいますから、しっかり忘れないように、両方で動詞をサンドイッチにしてください。
例文を見てみましょう。
- Je suis étudiant. [ジュ スィ エテュディアン] 私は学生です。
- Je ne suis pas étudiant. [ジュ ヌ スィ パ エテュディアン] 私は学生ではありません。
suis [スィ]は 「~である」意味の動詞 être [エートる] が、「私」という主語 je [ジュ]に従って活用した形です。
- Je chante. [ジュ シャント] 私は歌う。
- Je ne chante pas. [ジュ ヌ シャント パ] 私は歌わない。
chante は 「歌う」意味の動詞 chanter [シャンテ] が、「私」という主語 je [ジュ]に従って活用した形です。
ところが実際の会話では、この « ne » を発音しない場合がとても多いのです。
つまりフランス語の日常会話では、
Je suis pas étudiant. [ジュ スィ パ エテュディアン] 私は学生ではありません。
Je chante pas. [ジュ シャントパ] 私は歌わない。
という場合が多いことを知っておいてください。
また je suis pas (正しくは je ne suis pas) は、[ジュスィパ]ではなく [シュイパ] のように発音され、
「私は知らない」という je sais pas [ジュセパ] (正しくは je ne sais pas)は、[シェパ] のように発音されます。
それでは、今フランスで大人気のベルギー人歌手Angèle(アンジェル)のインタビューでこの「ne の消滅」を実際に見てみましょう。
(画像についた字幕には正しいフランス語で « ne »が入っていますが、彼女は実際には « ne »は発音していません。)
ではインタビューの中で[ne] が消えている部分を解説していきます。左側が正しい否定形の言い方で、右側はAngèleが実際に行っている文章です。
Je n’ai pas un vocabulaire extrêmement développé. → J’ai pas un vocabulaire extrêmement développé. 「私はボキャブラリーがすごく豊富なわけじゃないし、」
Je n’ai jamais été très amoureuse de la langue française.→ J’ai jamais été…
「フランス語が大好きだったわけじゃないし」
Je ne sais pas bien parler, → Je sais pas bien parler,
「上手に話せないし、」
Je ne sais pas bien écrire, → Je sais pas bien écrire,
「上手に書けないし、」
Ce n’est absolument pas français, → C’est absolument pas français’
「そんなの全然フランス語じゃないし」
Mais ce n’était pas voulu. → Mais c’était pas voulu.
「でもわざとやったわけじゃないの」
いかがですか?このように、書き言葉で « ne »を書かないのは文法的に間違いとされますが、日常会話では « pas »しかつけない場合が多いことを知っておいてくださいね。
最後にAngèleのインタビューの全文訳を載せておきます。
Je n’ai pas un vocabulaire extrêmement développé.
「私はボキャブラリーがすごく豊富なわけじゃないし、」
Je n’ai jamais été très amoureuse de la langue française.
「フランス語が大好きだったわけじゃないし」
Je ne sais pas bien parler,
「上手に話せないし」
Je ne sais pas bien écrire,
「上手に書けないし」
Et j’aime bien les mots simples.
「で、私はシンプルな言葉がすきなの」
Ça paraît con quand je dis ça,
「こんなこというとバカみたいけど」
Mais (en fait) j’aime bien aller droit au but.
「でも私はゴールにまっすぐ行くのが好きなの」
Et du coup, (dire des) balancer des phrases comme ça,
「だから、こんなフレーズを言っちゃうの」
Surtout « Tout le monde il veut seulement la thune »,
「特に「みんなおカネが欲しいだけ」なんて、」(la thuneとは「お金」という意味の俗語で、正しいフランス語では l’argentという)
Ce n’est absolument pas français,
「そんなの全然フランス語じゃないし」
Mais ce n’était pas voulu.
「でも、わざとじゃないの」
Ça m’est venu comme ça.
「ふと頭にうかんだの」
C’était une phrase qui m’est venu.
「ふと思いついたフレーズだった」
Parce que je trouvais ça naïf et je trouvais ça rigolo de parler d’argent,
「だってお金について話すのって間抜けだって思ったし、面白いって思ったから、」
Et parler de perversité par rapport à l’argent,
「お金に関するいやらしさについて話したり、」
de (comment dire de) « fame » et de toutes ces choses-là,
「(なんていうのかな)「名声」とかそんなこと全部を」
avec un langage (en fait) enfantin,
「子供言葉で話すのって(面白いって思った)」
Parce que ça montrait un peu le contraste.
「だってそれってちょっとコントラストがあるでしょ」
(Et puis c’est ) de nouveau, je trouve que le message est d’autant plus fort quand on le dit avec des mots simples.
「(それに)また、シンプルな言葉で言った方がメッセージが強く伝わると思うの」
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