「~してくれてありがとう」は Merci de…それとも Merci pour…?

最終更新日:2021年2月25日

フランス語で「ありがとう」は、”Merci [メるスィ]”。

けれども、小さい子供が単に”Merci!” とだけ言うと、お母さんがよく”Merci qui? [メルスィ キ?]”(誰にありがとうって?)と聞き返します。すると子供はすぐに ”Merci maman!”(ママ、ありがとう!)と答えるのです。

このように、誰かにお礼を言う際には ”Merci.” や ”Merci beaucoup. [メるスィ ボク]”とだけ言うよりも、その後に相手の名前や、名前を知らない相手には ”Monsieur” や “Madame” をつけるとより丁寧になります。

Merci Alex !  ありがとうアレックス!

Merci beaucoup Madame. ありがとうございます、マダム。

さて、今目の前でしていただいた親切や感謝に対しては、”Merci” だけでもよいですが、後からメールや電話などで、または再会した時に「あのときの xxx ありがとう!」と言いたい場合などには、感謝をする対象の「xxx」を具体的に言わなければなりません。そのときに使うのが、”pour” または “de” の前置詞です。

merci のうしろに名詞が来る場合

例えば「お手伝い」をしてくれたことにお礼を言う場合:

Merci pour ton aide / Merci de ton aide   手伝ってくれてありがとう。

「プレゼント」をくれたことに対してお礼をいう場合:

Merci pour le beau cadeau/ Merci du* beau cadeau
すてきなプレゼントをありがとう

このように、Merci のあとに前置詞の “pour” または “de” のどちらかをおき、名詞をもってきます。名詞の前には « ton, ta, tes, votre, vos »という「きみの、あなたの」といった所有形容詞、または定冠詞 « le, la, les »をつけることを忘れないようにしてください。

*またここでMerci のうしろに前置詞の « de »をつける場合、定冠詞の男性単数形 « le »がくると合体して « du »となるので注意が必要です。

Merci du beau cadeau.  素敵なプレゼントをありがとうございました。

 

さて、merci のうしろに名詞を置く場合には «pour» か«de»のどちらでもよいのですが、実際には無意識のうちに使い分けがされているようです。

後ろに抽象名詞が来る場合

後ろに抽象名詞が来る場合には、de をよく使いますbonté(心づかい)、 aide(援助)、 gentillesse(親切) honnêteté(誠実さ)など

Merci de votre collaboration あなたのご協力に感謝します

Merci de votre présence  あなたのご参加に感謝します

具体的なものが来る場合

それに対して具体的なものの名詞がくる場合には、pourを使う傾向にあるようです: cadeau (プレゼント)、lettre (手紙)、(chocolat)チョコレートなど

Merci pour votre gentille lettre. 親切なお手紙をありがとうございます

 

また、 « Merci de » の方が « Merci pour» よりもややあらたまった言い方であるとする言語学者もいますので、お礼を言う相手やシチュエーションによって変えてもいいでしょう。

 

merci の後ろに動詞の不定詞が来る場合

次に、相手の動作に対してお礼を言う場合には、merci の後に動詞をもってくる必要がありますが、その場合には必ず «de»を使います。

Merci de m’écouter. [メるスィ ドゥ メクテ] 私の話を聞いてくださりありがとうございました。

 

Merci de m’avoir invité(e). [メるスィ ドゥ マヴォワーる アンヴィテ] ご招待してくださってありがとうございました。

以上のように、de の後には動詞の不定詞(活用していない形)を持ってきます。

 

ちなみに(e)というのは、動詞の前にある「わたしを」という意味の人称代名詞 “m’(= me)”が女性の場合には性数一致をしなければならないので、écoutée となるわけです。

規則:助動詞にavoirを使う複合過去の文章では、直接目的となる人称代名詞(ここでは m’) の性数に、後ろの過去分詞を一致させなければならない。

この複合過去における過去分詞の性数一致は、とてもややこしいですね。高校1年生のフランス人の男の子に「女性の私が “私を招待してくれてありがとう(Merci de m’avoir invitée.)”って言う場合には、invitéの後に”e”がつく、つかない?」と聞いてみると、「男のボクには関係のないことだから知らないよ。」と言われました。男性は性数一致を考えなくていいから得ですよね!まあ、会話ではどちらも [アンヴィテ] なので音の違いはないのですが。

丁寧なお礼の言い方:Je vous remercie de / pour

Merci pour / de よりもう少し丁寧に言う場合、または書き言葉でお礼を伝える場合には、「~にお礼を言う」という動詞 « remercier »を使うこともできます。

Je vous remercie pour votre splendide cadeau !あなたの素晴らしいプレゼントをありがとうございました!=(素晴らしいプレゼントに感謝します)

 

Je vous remercie de vos bonnes intentions. あなたの善意にお礼を申します。

ここでもpourは具体的なものが後にくる場合につかい、抽象名詞が来る場合にはdeを使う傾向にあるようです。

vous(あなたに)のところは、もちろんte (きみ)でもいいですし、「彼」に感謝するなら le、彼女に感謝するなら la にもなります。

Je la remercie pour sa visite.     私は彼女の訪問に感謝している。

注意:「誰々に感謝する」は、フランス語では「remercier 誰々」というように、remercierの後に à などの前置詞は置かずに、直接「誰々」をとる動詞、すなわち直接目的語をとる動詞なので、間接目的の人称代名詞 luiではなく、le/la をとるのです。

フランス語の「電話をする」téléphoner と appelerの違いは? 

また動詞が来る場合にはMerciの場合と同じく « de +動詞の不定詞 »となります。

 Je vous remercie d’avoir accepté de participer à cette conférence.
この会議に参加することを承認してくださいまして、ありがとうございます。

 

過去のことに対してMerci ? これからすることに対してMerci ?

さてちょっと複雑ですが、pour と de の使い分けついて時制の観点から見てみたいと思います。次の二つの文章は全く同じ意味なのでしょうか?

1) Merci pour votre attention.

 

2) Merci de votre attention.

両方とも「相手の注意や配慮 =attention」に対してお礼を言っているわけですが、

1)はこれからしてもらう未来のことに対してお礼を言っています。例えばスピーチをする前に「これからどうかご清聴をお願いいたします」という場合などには、pour を使います。

それに対して2)は、「ご清聴ありがとうございました。」というように、スピーチの後に終わったことへのお礼を述べる際に使われます。

 

また1)の場合には、d’avance(あらかじめ、まえもって)を入れれば「ご清聴よろしくお願いします」とお願いしていることがはっきりします。

Merci d’avance pour votre attention. ご清聴どうぞよろしくお願いいたします。

上で説明したように「抽象名詞」か「具体的なもの」かという使い分けのほかに、このように過去のことか未来のことかによって “pour” と “de” を使い分ける場合もあるのです。

最後に、「いろいろとありがとう!」と言いたいときには

Merci pour tout!  いろいろとありがとう!

と言えます。例えば

Merci pour tout ce que vous avez fait pour moi. いろいろとお世話になりました。

それでは、

Merci d’avoir consacré quelques instants à la lecture de cet article.

この記事を読むお時間を取っていただき、ありがとうございました。

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2件のコメント

  1. Merci の後に de がくるのか pour がくるのかいまいちわからなかったのですがはっきりしました、ありがとうございました。
    質問ですが Merci beaucoup の後にも de や pour をおくことができますか? それか丁寧に言いたい場合にはやはり remercie を使ったほうが良いですか?

    • Bonjour Ayano san,

      Merci beaucoup pour votre cadeau. 贈り物を本当にありがとうございます。
      Merci beaucoup de votre présence. 来てくださって本当にありがとうございます。

      のように、beaucoup をつけても同じように言えますし、会話ではよくこのように言います。

      Je vous remercie de/pour…

      は確かに丁寧ですが、言いにくいですからね~ (笑)
      舌を嚙んでしまうぐらいなら、Merci beaucoup de/pour で良いと思います!

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