フランス語の[r]はどうやって発音する?

最終更新日:2020年7月30日

私がフランス語の発音で一番難しいのは、大小の口の開きがあるさまざまな[ウ]の音だと思うのですが、フランス語学習初心者の方にとっては、それよりも [r] の発音が難しいと感じるようです。

確かに、フランス語の [r] は日本語にはない特殊な音です。口の真ん中辺りで発音する英語の [r]とは違い、フランス語の [r] は口の奥ののどに近いところで出す音。分かりやすいようによく「うがいをする時のような音」と言われるのは、のどの辺りで音を出すからですね。

フランス語の [r] の発音の仕方

ではフランス語の [r] を出してみましょう。

  • まず、日本語で「か」と言う準備をします(音は出しません)。
  • のどの手前辺りの上に、舌の奥の方がくっついていることを確認してください。
  • 舌先は下の歯の裏側に軽くくっつける感じにします。

  • 上にくっついている舌をわずかに離して息を出すと、かすれた「ハ」のような音がでます。それがフランス語の [r] の音です。

口の奥の方で発音する音ですので、[k] や [g] の音とも似ていて、実際に « Bonjour » [ボンジューる]と発音すると、あたかも [ボンジューグ] といっているようにも聞こえます(ただし軽い「グ」)。また、aにつなげて[ra]と発音する際には、[ハ] のように聞こえることもあります。

フランス語の [r] の発音練習

それでは、次のように毎日少しずつ [r] の音を練習してみましょう。

  1. まずは [ri,ri,ri, ra,ra,ra] とゆっくりと発音します。
  2. 次は少し早く [ri,ri,ri, ra,ra,ra] と練習してみてください。

さまざまな [r] の音

さて私がパリで言語学を学んだ時に、音声学の授業でさまざまな [r] の音があることを習いました。現在フランスで一般的に使われている [r] の音は、consonne fricative uvulaire voisée(有声口蓋垂摩擦音 ゆうせいこうがいすいまさつおん)と呼ばれる音です。

上で練習した [r] の音と思ってください。国際音声記号では、[ʁ]と書きます。音を聞いてみましょう。(Wikipediaより)

 

次に、音声学の教授が「Mireille Mathieu(ミレイユ マチュー)の [r]」と呼んでいた [r] があります。これは1900年代の中頃までフランスの歌手がよく発音していた [r] の音で、別名「パリジャンの r」ともいわれます(ミレイユ マチューさんもフランス人歌手)。これは consonne roulée uvulaire voisée(口蓋垂ふるえ音)と言われる音で、国際音声記号では [ʀ] と書きます。

音を聞いてみましょう。(Wikipediaより)

 

かなり舌を巻いた音ですね。昔のシャンソンでよく聞く音ではないでしょうか。では実際にミレイユ マチューの歌でこの音を聞いてみてください。エディット ピアフもこのように[r]を発音していましたが、ミレイユ マチューの音の方がはっきりと聞き取れると思います。
Mireille Mathieu – Sous le ciel de Paris

おまけですが、スペイン語の [r] の音も聞いてみましょう。これは、consonne roulée alvéolaire voisée (歯茎ふるえ音 しけい ふるえおん)と呼ばれ、別名「巻き舌の r」とも呼ばれます。国際音声記号は [r]と書きます。

音を聞いてみてください。(Wikipediaより)

 

この [r] はフランス語の[ʁ]とは違って、だいぶ口の前の方で出す音です。私はこの巻き舌の音がどうしても出せず、スペイン語で「犬 」[perro ペロ]とうまく言えません。「髪の毛」 [pelo]となってしまうか、consonne battue alvéolaire voisée (歯茎はじき音  しけい・はじきおん)になり、「しかし」[pero]と言っているように聞こえてしまうのです。

(ちなみに「歯茎はじき音」の国際音声記号は [ɾ]で、音は次のようになります。ーWikipediaより)

 

スペイン語の先生に「スペイン語を話す子供は、生まれた時からこの巻き舌の r を出せるのですか」と聞いたところ、そうでもないようで、学校で舌にペンを挟んで特訓する子供もいるそうです。しかしフランスの子供達は、小さいころからそんなに苦労せずにフランス語の r の音を出せるような気がします。毎日お母さんたちに “arrête !” [アれット!] やめなさい!” という言われるせいかもしれませんね 笑。

フランス語の [r] と [l] を間違えないで言う方法


いかがでしたでしょうか。慣れないうちはフランス語の [r]を練習しすぎると、のどが痛くなることがありますので無理をしすぎないように。特に風邪をひいてのどが痛い時には、この音を出すのはつらいかもしれません。上手に発音するコツは、「[r]を発音しよう」意識しすぎないこと。意識をしすぎては「BonjouG  ボンジューグ!」のように大げさになりかねません。特に語末の [r] は、ほんの軽めに発音するのがポイントです。

【留学・駐在前に】短期間で効率的にフランス語の基礎を身につけられます

コメントを残す


Warning: Undefined variable $post_id in /home/theone001/tresbien.co.jp/public_html/wp-content/themes/the-one-theme/comments.php on line 13

Warning: Undefined variable $post_id in /home/theone001/tresbien.co.jp/public_html/wp-content/themes/the-one-theme/comments.php on line 14

3件のコメント

  1. 初めまして。
    フランス語の『う』の発音の難しさ、同感です。発音も聞き取りも苦戦しています。
    2と12がはっきりとわかりません…
    そして今何より困っているのはフランス語を話すと喉がとても痛くなることです。
    最初は風邪をひいたのかな?
    疲れているのかな?
    と、思っていましたが、よーく考えてみるとフランス語をたくさん話した日はとても喉が痛くなることに気づき、こちらのサイトに辿り着きました。
    やはり『r』の発音に力が入りすぎていたんですね。
    チカラを入れず発音できるように練習したいと思います。
    とてもわかりやすく説明をしてくださり、ありがとうございます!

    • Bonjour !
      私も始めはのどが痛くなりました。
      でも、気長に口をフランス語に慣らしていけばいいと思いますよ。
      私達の口は最初は日本語にしか慣れていませんから。
      Bon courage

関連記事

【留学・駐在前に】短期間で効率的にフランス語の基礎を身につけられます