フランス語のウ (eu /ou) の発音:私の聞き間違えのせいで独房に入れられた彼の話

最終更新日:2020年2月3日

私がフランスに語学留学したてのころ、それはそれはたくさんの聞き間違いや言い間違いをしました。自分の間違いを人に笑われるのはなんともないのですが、今日は人に大迷惑をかけてしまった話をひとつ。

リヨンの語学留学中で知り合ったフランス人の彼 (現在の夫)が、ついに10カ月間の兵役に行く時期になりました。今はもうフランスには義務化の兵役はなくなりましたが (1997年にシラク大統領のもと廃止)、当時のフランス人男性はみな、10カ月間にわたっての兵役が義務付けられており(女性は希望者のみ)、大学進学者の多くは大学卒業後、就職する前に兵役義務を果たすのが一般的でした。私たちはお互いの大学があったリヨンで知り合ったのですが、彼は実家がブルターニュ地方だったために、トゥールの兵舎へ兵役をすることに。私はリヨン第二大学で勉強をしていたためにそのままリヨンに残り、お互いに離れ離れになってしまいました。

当時はまだインターネットもなく、連絡手段は手紙か電話。兵舎に到着した彼は、さっそく自分の入隊した部隊の番号や住んでいる兵舎の住所を伝えるために、電話をくれました。

 

「トゥール兵舎の第2連隊」

 

そうメモをとり、「手紙をいっぱいかくからね」と約束をして、泣く泣く電話をきりました。

その日から私は、それはたくさんの手紙をトゥールの兵舎で暮らす彼宛てに書きました。1日1通から2通、語学学校の宿題をするよりも一生懸命に書きました!当時の私のフランス語力ではたいしたことは書けなかったのですが、毎日フランス語を書くというのは語学に慣れる上でとても役に立ちました(それを添削してもらえていたら、さぞ上達していたでしょう!でもラブレターなのでさすがに添削はありませんでした…)。彼の方もたくさんの手紙を送ってくれました。達筆すぎて、読めない箇所も多々ありましたが…。

そんなこんなで2か月ほどたった頃。彼から「今週末は兵舎から出られない。2日間、独房に入れられるんだ」と電話がありました。通常、兵役の期間も週末は家に帰ったり外出はできたので、可能な限り行き来をして会っていたのですが、その週末は出られないというのです。

びっくりして「なんで!?なにかしたの??」と聞くと、なんと私の手紙のせいだと。

実は彼の所属する部隊は「第2連隊」ではなく「第12連隊」だったのです。私が2と12を電話で聞き間違えてしまい、毎日第2連隊宛てに12連隊所属の彼に手紙を出し続けてしまったのです。毎日届く手紙を転送するのにうんざりした係の人が「いいかげんに住所を訂正しろ!」と怒り、罰として彼は、週末の二日間のあいだ独房に入れられるというのでした。

わたしのフランス語の聞き間違えのせいで…。Je suis désolée.(ごめんね)


ここで私の間違いの原因を解説しましょう。

第2連隊というのは、”deuxième regiment” (ドゥジエム れジマン)

第12連隊というのは、”douzième regiment” (ドゥジエム れジマン)

といいます。どちらもカタカナで読み仮名を書くとすると[ドゥズィエム]で同じですが、この [ウ] の発音がクセモノなのです。

 

2番目(deuxième) の発音の仕方

発音記号で書くと、[dø-zjɛm]となります。この [ø]の発音は、簡単に言えば「オ」の口をして「エ」と言う感じの「ウ」です(簡単じゃないですかね…)。口はやや広がり気味です。

12番目(douzième) の発音の仕方

発音記号で書くと、[du-zjɛm] となります。この [u]の発音は、口を小さくすぼめて前に着きだし舌を奥へ引いて発する深い「ウ」の音です。単語の中で “ou” と出てきたら、このように口をすぼめて「ウ」と発音してみてください。例えば、「どこに、どこへ」という意味の où は、口を小さくすぼめて発音する「ウ」です。

それでは2つの発音を比べて聞いてみてください。

2番目(deuxième)/ 12番目(douzième)

 

12番目(douzième)の「ウ」の方が、口をよりすぼめる「ウ」です(梅干しを食べてすっぱい時のように)。2番目(deuxième)という時には、それよりも口のすぼめをややゆるめて(ゆるめすぎないように)、「ドゥ」と言ってみてください。


当時の私はまだ、douzieme と deuxieme の違いを聞き取れませんでした。しかも電話での聞き取りはかなり難しいのです。

そんなわけで可哀そうな彼は、私の「ウ」の聞き間違えのせいで、週末の2日間を独房で過ごす羽目になってしまいました。スマホで簡単にメッセージが送れる今の時代にはありえないことですよね。当時はまだなんでも電話でやりとりしなければならなかったので、聞き取り力が必須でした。今は逆に、話すよりも文字で伝える方が多い時代。これからフランス語を学ぶみなさんは、しっかりと書く練習もした方がいいですね。

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