フランスの1年滞在許可証取得に必要なフランス語レベルA1ってどれぐらい?
フランスに3か月以上滞在する場合には、滞在許可書(1年ごとに更新)を取得する必要がありますが、その際に外国人はまず以下のような講習を受けなければなりません。
- une présentation collective 全体講習会
- un test d’évaluation linguistique 語学力テスト
- un entretien personnalisé durant lequel l’étranger signe le contrat d’intégration républicaine (CIR) 個人面談(最後に「CIR / フランス共和国への同化同意書」に署名をする)
この講習で行われる「語学力テスト」では、CECRLのA1レベルのフランス語力があるかどうかがテストされるのですが、ここでは具体的にA1がどのぐらいのレベルに値するのかを見ていきたいと思います。
まずCECRLというのは「Cadre Européen Commun de Référence pour les Langues (EU共通語学レベル基準)」といって、EUで定められた語学力の基準です。EUには英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語等さまざまな言語を話す人々がいるため、言語が異なってもその人の語学レベルがはっきりと分かるように、すべての言語でA1/A2/B1/B2/C1/C2といった共通のレベルが定められているのです(A1が初級者でC2が最上級者)。フランスで滞在許可書を取得する際にはこのCECRLの基準でのA1レベルが必須とされており、そのレベルに達していない人は、50時間、100時間または200時間の語学研修を受けなければなりません。
このCECRL のA1というのはフランス語試験の「DELF (Diplôme d’Etudes en Langue Française)」の A1に相当し、DELFのA1では以下のような4つ分野でのテストがあります。
試験内容 | 試験時間 | 点数 |
Compréhension de l’orale(聞き取りテスト):日常生活に即した3、4つの短い録音を聞いて、質問に答える(2回聞ける) | 約20分 | 25点満点 |
Compréhension des écrites (読解テスト):日常生活に即した4,5つのの文章を見て、質問に答える。 | 30分 | 25点満点 |
Production écrite(記述テスト):
|
30分 | 25点満点 |
Production orale(会話テスト):
|
準備時間10分、 試験期間5-7分 |
25点満点 |
A1では外国人がフランスに滞在する上で最低限必要な語学力を調べるだけあり、「駅やテレビ等でフランス語の情報が聞き取れるか」「さまざまな申し込み書や必要書類にフランス語で記入できるか」「フランス語での簡単な質問に答えられるか」など、日常生活に即した語学力が問われています。
それではひとつずつ例題を見ていきたいと思います。
Compréhension de l’orale 聞き取りテスト
ここでは、日常生活に即したフランス語での音声が流れ、それに関する質問に答えます(3択)。音声は30秒の間をあけて2度流れます。2度目の音声の後、さらに30秒間あるので自分の回答を確かめます。
音声を聞く前に、まずは質問を読みましょう。
これは、フランスのSNCF(フランス国有鉄道)の駅でいつも流れているアナウンスと同じものですね(駅の本当のアナウンスの方が、もう少しゆっくりしているかもしれません)。
- の答えは numéro 5
- の答えは À 15h18.
聞き取りテストではこのような問題が4問出されますので、数字や時間は必ず聞き取れるようにしておきましょう。
“Le train, TGV numéro 6866 à destination de Paris, partira à 15h18, quai numéro 5.”
Compréhension des écrites 読解テスト
ここではフランス語で書かれたカードを読み、質問に答えなければなりません。このようなテストでまず難しいのは、フランス人の手書き文字に慣れていなくて文字が読めないことです。昨今では手書きの手紙はあまり見なくなりましたが、今でもお店の前などに手書きのお知らせが貼ってあったり、子供のお友達からもらう誕生日会の招待状が手書きのこともありますので、普段から印刷文字だけでなくて手書きの文書にも慣れておきましょう。
- の答えは Jeanne
- の答えは C’est un message amical.
- の答えは Pour inviter une amie.
- の答えは Image b のワイン
- の答えは l’hiver
ちなみに5の質問は「1月5日はナントでは冬?春?秋?」という意味です。暦と季節の単語を知っているかを調べる問題ですが、意外にも、フランス人の子供は月の暦と季節が一致させられないことを私は思い出しました。
日本語の場合には、月の読み方が「1月、2月、3月」というように順番に数字になっているため、子供でも簡単に覚えられますよね。ところがフランス語の場合(英語等もそうですが)、数字ではなく:
janvier(1月), février(2月), mars(3月), avril(4月), mai(5月), juin(6月), juillet(7月), août(8月), septembre(9月), octobre(10月), novembre(11月), décembre(12月)
のようにすべて名前なので、1月から順番通りに言えない子供もいるのです。日本人が和風月名で1月から順番に言えないのと同じ感覚ですね(睦月(むつき)、如月(きさらぎ)、弥生(やよい)…)。さらに、季節を「春→夏→秋→冬→春」の順番に言えなかったり、「octobreはなんの季節?」と聞いても、「秋」と答えられない子供もいます。どうも月の名前と季節が一致しないようです。
カードの文章は以下の通りです。手書きの r と t が読みにくいと思いませんか?
Nantes, 5 janvier
Salut Émilie,
J’ai 20 ans le 5 février!
Pour fêter ça, je fais une petite fête à la maison samedi prochain vers 20h00.
Tu peux venir? (apporte une bouteille de vin).
Voici mon adresse: 22 rue Saint Maur
(tél: 06.22.15.66.88)
À samedi, je t’embrasse,
Jeanne
このほかにも、フランス語でのメールや、テレビの番組表、地図など、どれも生活に即した資料をもとに、4問題が出されます。
Production écrite 記述テスト
ここではまず、さまざまな書類にフランス語で記載できるかの力がためされます。例えばホテルにチェックインする際の滞在者カードに記載をします。
このほかにも、「友達に宛てて絵葉書を書く」等の筆記テストがあります。TOEICのように選択肢から選ぶ問題だけでなく、このように手書きで書く試験もあるので、アクサン記号までしっかりと書けるようにしておきましょう。
Production orale 会話テスト
会話テストは3パートに分かれています。
1)まず、試験官の質問に答えられるかが試されます(名前、職業、住んでいる場所、趣味などを聞かれます)。
2)次に、文字がかかれたカードが配られるので、そこに書かれている文字を見ながら試験官に質問をします(例えばカードに「Profession ?」と書かれていたら試験官に「職業」を聞き、「Nom ?」と書かれていたら「名前」を聞く、など)
職業であれば、Quelle est votre profession?
名前であれば、Quel est votre nom?
というように、試験官に質問します。
3)最後はロールプレイによる会話テストです。例えば、試験官が店員で、受験生が買い物客というシチュエーションで会話をします。値段の聞き方や、「~を欲しいのですが。」という言い方を覚えておく必要があります。
以上のDELF A1の問題は、こちらのDELF/DALFのサイトからお借りしました。
以上がA1の内容と流れです。「読み、書き、聞き取り、会話」の4技能がすべて試されるバランスのとれたテストです。フランスに滞在予定の方は、まずはこの自分がこのレベルに達しているかを確認してみて、足りない部分はできるだけ滞在前に勉強しておくと、現地についてからの生活がだいぶ楽だと思います。
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