フランス語で「直接目的補語」をとる動詞、「間接目的補語」をとる動詞
今日はフランス語で「直接目的補語」をとる動詞と、「間接目的補語」をとる動詞について、解説したいと思います。
フランス語では
直接目的補語=complement d’objet direct (COD)
間接目的補語=complement d’objet indirect (COI)
と言います。日本語ではこれらを略して「直接目的語」「間接目的語」と言うこともありますが、同じものだと思ってください。ちなみに「補語」というのは、文章内の何かの要素の意味を補ったり、情報を付け足す役割をはたすもののことです。
まず「直接目的補語」と「間接目的補語」の簡単な例文をご紹介しましょう。
① Il téléphone à sa mère.
② Il appelle sa mère.
上の文章の意味は両方とも「彼は母親に電話をする。」ですが、① téléphoner (電話をかける) という動詞を使う場合は後ろに必ず間接目的補語(または間接目的語)を置かなければなりません。なぜ「間接」かというと、目的語の前に前置詞の à を挟むからです。
ところが ② appeler (呼ぶ、電話をかける)を使う場合には、後ろには直接目的補語(または直接目的語)を置くことができます。なぜ「直接」というかというと、動詞の後ろに前置詞は必要とせず、直接に目的語をおけるからです。
したがって、フランス語の動詞を覚える際には以下のことも一緒に覚えなければなりません。
téléphoner = 間接目的補語をとる動詞 (téléphoner à 誰々)
appeler = 直接目的補語をとる動詞 (appeler 誰々)
日本人が間違えやすい「直接目的補語」をとる動詞、「間接目的補語」をとる動詞
一般的に日本語では直接目的補語を「~を」と、間接目的補語を「~に」と訳すことが多いです。
Je donne ces fleurs à Emma. 「私はこれらの花をエマにあげる。」
[直接目的語] [間接目的語]
*このように、ひとつの文章に直接/間接目的補語の両方が存在する場合もあります。
ところが、このようにいつも日本語の「~を」「~に」に頼っていると、使い方を間違えてしまう動詞があるのです…。
「~に」と訳すのに、直接目的補語をとるフランス語の動詞
appeler : J’appelle ma mère ce soir. 「私は今晩、母に電話をする。」
saluer : Il salue son voisin tous les matins. 「彼は毎朝、隣人に挨拶をする。」
voir : Elle voit ses parents tous les week-end. 「彼女は毎週末、両親に会う。」
suivre : Ils vont suivre le guide. 「彼らはガイドについて行くだろう。」
remercier : Je remercie mes parents. 「私は両親に感謝する。」
impressionner : Il a impressionné ses amis. 「彼は友人達に強い印象を与えた。」
rencontrer : Hier soir, j’ai rencontré mon professeur dans la rue. 「昨晩、私は道で先生に出会った。」
prévenir : Je dois prévenir Thomas avant 8 heures. 「私は8時より前にトマに連絡しなければならない。」
initier : Elle a initié mon fils aux mathématiques. 「彼女は私の息子に数学の初歩を教えた」
どうですか?日本語では「両親に感謝する」と言うので、Je remercie à mes parents. と言いたくなりませんか?でもこれは間違いで、フランス語では 【remercier 誰々】というように、直接目的補語をとるのです。
うしろに間接目的補語をとる動詞
次にまず、間接目的補語をとる動詞を見てみましょう。
- parler : Elle parle à ses parents. 「彼女は両親に話す。」
- écrire : Je dois écrire un mail à mon professeur. 「私は先生にメールを書かなければならない。」
- répondre : Est-ce que tu as répondu à Alex? 「アレックスに返事をした?」
上記の動詞は日本語で「~に」と訳し、前置詞の à をつけた間接目的補語を置くので、私達にも分かりやすいと思います(間接目的補語をとる動詞の多くは「伝達・コミュニケーションの動詞」が多いです)。
ところが、そうはいかない動詞もあるのです。
「~を」と訳すのに、間接目的補語をとるフランス語の動詞
pardonner : Il pardonne à son fils.「彼は息子を許す。」
renoncer : Il a renoncé au mariage. 「彼は結婚をあきらめた。」
initier : Elle a initié mon fils aux mathematique. 「彼女は私の息子に数学の初歩を教えた。」
いかがでしょう。「彼は結婚をあきらめた。」と日本語いうと、Il a renoncé le mariage. のように直接目的補語を置きたくなりませんか?そうではなく、間接目的補語 au mariage をとるのです (au = à + le)。
間接目的語人称代名詞、直接目的語人称代名詞
このように「直接目的補語」をとる動詞か、「間接目的補語」をとる動詞かを知っておくことは、人称代名詞を使う場合に大切になってきます。
例えば:
「rencontrer は直接目的補語をとる」ということを知っていないと、「昨日私は彼に出会った」は「彼に」なので:
Hier soir, je lui ai rencontré. ←(これは間違い)
と言ってしまいます。正しくは
Hier soir, je l’ai rencontré.
のように、直接目的人称代名詞の le を使います。【rencontrer 誰々】
また「pardonner は間接目的補語をとる」ということを知っていないと、「彼女は彼(または彼女)を許した。」は「彼を」なので:
Elle l’a pardonné. ←(これは間違い)
としてしまいます。正しくは
Elle lui a pardonné.
のように、間接目的人称代名詞の lui を使います。【pardonner à 誰々】
「直接目的補語」をとる動詞、「間接目的補語」をとる動詞を辞書で見分ける方法
それでは、どうやって「直接目的補語」をとる動詞と、「間接目的補語」をとる動詞を見分けるのでしょうか?辞書で調べる際に、
~ à qn (qn = quelqu’un のこと)
~ à qc (qc = quelque chose のこと)
と書いてあれば、動詞(~の部分)のうしろに間接目的補語がくるということです。
一方で、
~ qn (qn = quelqu’un のこと)
~ qc (qc = quelque chose のこと)
と書いてあれば、動詞(~)のうしろに直接目的補語がくるということです。
万が一このように書いていなければ、例文を見てうしろに「直接目的補語」をとるのか、「間接目的補語」をとるのかを見分けてくださいね。
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こんにちは、先ずは~にと訳すのにCODと覚えるのではなく CODをとる動詞COIをとる動詞で覚えたほうがいいですか?人称代名詞は、ちょっと頭がこんがらがっています 上手くまだ使い方わけられないです。
je lui ai recontrée. になっております。
Bonjour,
ほとんどの場合、日本語で「~に」と訳す時には [ à ~] (COI) となるので、ここで上げた例外の動詞(ピンクの枠で囲んだ動詞)だけを
特に意識して覚えていればとりあえずは間に合うのではないかな、と思います。
Bon courage !
泉先生、
今日も大変勉強になりました。動詞の属性を常に厳密に意識して使うことが大事ですね。会話のなかで喋っていると、それが曖昧になります。(先日、2週間、ニューカレドニアでたくさんフランス語を使う機会がありましたが、ちょくちょく間違った代名詞を使っていた気がします)