フランス10年滞在許可証の取得に必要なフランス語力とは?
フランスで3か月以上の長期間滞在する場合、一定の条件を満たしていれば「10年滞在許可証」を取得することができます。その一定の条件とは:
- フランス人の配偶者である
- フランス国籍を持たないが、10年滞在許可書を取得している外国人と結婚している人、またはその子供(19歳以下)である
- フランスに住むフランス国籍を持つ子供の親である
- フランス人の扶養家族:フランス人の子供(18歳―21歳、または親の扶養を受けている21歳以上の子供)、扶養を受けているフランス人の親や義理の親)
- 難民または無国籍者とその家族である
…
などがあげられます。その中で日本人に最もあてはまるケースは「フランス人の配偶者」である場合でしょう。
フランスの1年滞在許可証取得に必要なフランス語レベルA1ってどれぐらい?
10年滞在許可証を取ると何ができる?
この10年滞在許可証を取ると、1年ごとに滞在許可証を更新しなくていいほかに、
- 会社員として働ける(労働許可証が必要ない)
- 自営業者として働ける(店舗経営、職人、アーチストなど)
というようにフランスで自由に仕事ができるようになります。しかし、選挙権はもらえません。(ただしEUメンバーの国籍をもつ人であれば、欧州選挙と市議会選挙での選挙権が与えられるようです。)
10年滞在許可証を取るための条件とは?
単にフランス人の配偶者がいるだけではだめで、さらに以下の条件があります。
- フランス人と結婚して最低3年以上たっている(チュニジア人の場合には最低1年以上)
- 物理的または感情的に一緒に住んでいる(各人がそれぞれの住居を持っていてもよい)
- 配偶者はフランス国籍を所持している
- フランス国外で結婚した場合には、申請前にフランスの戸籍簿に婚姻の登録されている必要がある
偽装結婚を防ぐために、警察署に呼び出されて夫婦個別に行われる面談もあるようです。
さらに10年滞在許可証を申請する上で、フランス共和国に同化するために以下の条件を満たしていることが求められています。
- フランス共和国が定める原則を守るという約束をしている
- それらの原則を尊重する意思がある
- 充分なフランス語の知識をもっている
「以上の条件を満たします」という約束をするために、「共和国同化契約書(Le contrat d’intégration républicaine (CIR) 」なるものに署名をしなければならず、この契約書には「フランス社会になじむための研修を受けること」「フランス語力が足りない場合には語学研修を受けること」といった内容がかかれています。このようにして契約書に署名させることにより、外国人にフランス共和国の定める原則に従うことを約束させているのです。宗教も国籍も多様な移民の数が非常に増えてきているフランスは、国のアイデンティティを必死に守ろうとしているのでしょう。
10年滞在許可証の申請に必要なフランス語力とは?
さて、「フランス共和国に同化するための条件」に書かれている「充分なフランス語の知識」とはどの程度のレベルなのでしょうか?
10年滞在許可証を始めて申請する場合には、EUが定める語学基準(CECRL)のA2に同等またはそれ以上のフランス語力が必要とされています(ただし65歳以下の人)。
そのためには、定められたフランス語テストに合格するか、フランス語のディプロムのA2レベル以上を持っていることを証明しなければなりません。
定められたフランス語テストとは?
10年滞在許可書を取得するために必要なA2レベルを評価するテストには、2種類あります。
1)Centre international d’études pédagogiques (CIEP)が行うTest de connaissance du français (TCF)
2)パリ商工会議所が行うTest d’évaluation du français (TEF)
TCF:Test de connaissance du français
TCFは、通常DELF/DALFのようにA1からC2までのレベルがあるのですが、「10年滞在許可証用TCF」というものが特別にあり、テスト後にもらえる証明書には、「A2レベルに達している・いない(« A2 atteint » ou « A2 non atteint »)」という結果が記載されます。試験内容は リスニング(25分)、リーディング(45分)、ライティング(30分)、スピーキング(10分)の4項目合計1時間50分です。
TCFの試験場はフランス国内中にあり、1カ月に1回の頻度で試験が行われるようç。例えばパリだとFrance Langueという語学学校で月に一回行われています。
TEF: Tes d’évaluation du français
パリ商工会議所が行うTEFにも「10年滞在許可証用TEF」というものがあり、試験内容は リスニング(10分)、リーディング(30分)、ライティング(20分:パソコンで書く)、スピーキング(10分)の4項目合計1時間10分と、TCFより少し短めです。
試験場は世界中にありフランス国内には118か所の試験場があります。
10年滞在許可書の取得に必要なその他のフランス語ディプロムとは
また、以下のディプロムのA2レベル以上を持って入れば、許可証の申請に問題はありません。
- Diplôme universitaire d’études françaises (DUEF)
- Diplôme approfondi d’études françaises (DAEF)
- Diplôme supérieur d’études françaises (DSEFP)
- Diplôme de français professionnel (DFP)
- Diplôme d’études en langue française (DELF)
- Diplôme approfondi de langue française (DALF)
- Diplôme d’études en langue française professionnelle (DELF Pro)
- Diplôme de compétence linguistique (DCL)
もちろん、フランスの大学や専門学校のディプロムがあれば、語学力テストを受ける必要はありません。
- Titre ou diplôme inscrit au Répertoire national des certifications professionnelles (RNCP)
- Diplôme délivré par l’État (ou au nom de l’État)
- Diplôme universitaire (DU)
「フランス人のパートナーとは英語で会話しているから、そんなにフランス語は必要ないわ」という方であれば、TCEやTEFでA2レベルを取って10年滞在許可証を取得すれば問題ないかもしれませんが、今後フランスで仕事をする方やお子さんをフランスで育てる方は、A2レベルで止まるのではなく、DELF/DALFなどでもっと上まで目指しても良いと思います。特に子供をフランスの学校に入れると必ずフランス人に育ちますから、ティーンエイジャーになっても子供と対等に話すためには、親もそれ相応のフランス語力があった方がよいです。
次回は、具体的なA2レベルの試験内容を見てみたいと思います。
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