フランス語でリエゾンする場合としない場合の規則

最終更新日:2022年10月9日

フランス語を読むときに難しいのが、リエゾン (liaison) やアンシェヌマン(enchaînement)、エリズィヨン (élision) といった語と語のつながりです。特にリエゾンは、本来発音されない語末の子音字を、次に続く語の頭が母音の場合につなげて読むことですが、すべての語末の子音と次の語の母音をつなげれば良いかというと、そうでもありません。

ここでは、必ずリエゾンする場合と、どちらでも良い場合、してはいけない場合の規則を見てみたいと思います。

【リエゾンの例】 deux ans = 2年

かならずリエゾンをする場合

限定詞(冠詞、指示形容詞、所有形容詞、疑問形容詞、数詞など)+名詞

限定詞とは、名詞の前につけてその名詞を具体的に明示する(性や数など)語のこと。

冠詞+名詞

les amis [レザミ] 友人達

 

指示代名詞+名詞

cet avion [セタヴィオン] この飛行機

 

所有形容詞+名詞

mes idées [メズィデ] 私の考え

 

疑問形容詞+名詞

quels exercices [ケルゼグゼるスィス] どの練習問題

 

不定形容詞+名詞

certains individus [セるタンザンディヴィデュ]

 

形容詞+名詞 (形容詞が名詞の前に来る場合)

les beaux enfants [レボーザンファン]

 

数詞+名詞

deux hôtels [ドゥゾテル] 2つのホテル

 

主語人称代名詞+動詞

Nous avons… [ヌザヴォン] 私達は…を持っている

Ils arrivent. [イルザりーヴ] 彼らは到着する。

Arrivent-ils? [アりーヴティル] 彼らは到着しますか?

 

動詞 + 中性代名詞

Prends-en. [プランザン] それを取りなさい。

Allons-y. [アロンズィ] そこに行きましょう。

 

補語人称代名詞+動詞

Je les aime. [ジュレゼーム] 私はそれらが好きです。

 

一部の複合語

c’est-à-dire [セタディーる] つまり

de temps en temps [ ドゥタンザンタン] 時々

peut-être [プテートる] たぶん

 

リエゾンをしてもしなくてもどちらでもいい場合

être と 属語(形容詞や名詞)の間

C’est impossible. [セッタンポッシーブル] またはリエゾンせずに [セ アンポッシーブル]

C’est une montre. [セッチュンヌモントる] または [セ ユヌモントる]

 

複合過去の場合の 助動詞 (avoir/être) と過去分詞の間

Ils ont aimé [イルゾンテメ] または [イルゾン エメ]

 

前置詞のあと(特に前置詞が1音節の場合はどちらでもよい傾向が強い)

sous un arbre [スーザンナるブる] または [スー アンナるブる] 木の下で

sans un sous [サンザンスー] または [サン アンスー] 一文無しで

sous (~の下に)sans (~なしに)が両方とも1音節の前置詞です。

 

ただし、前置詞が複数音節の場合、しない場合が多い

pendant un siècle [パンダン アンスィエークル] 1世紀の間

pendant (~の間)[パン/ダン] と2音節の前置詞です。

 

副詞 (très , plus, bien, tout) +形容詞、副詞

Très occupe [トレゾキュペ] または[トレ オキュペ] とても忙しい

pas encore [パザンコール] または[パ アンコール] まだ

 

名詞の複数形+形容詞

des enfants agréables [デザンファンザグレアブる] または[デザンファン アグレアーブル] 感じの良い子供達

des habits élégants [デザビゼレガン] または[デザビ エレガン] エレガントな服装

 

動詞+補語

ils vont à Paris. [イルヴォンタパリ] または[イルヴォン アパリ] 彼らはパリに行く。

nous voyageons ensemble [ヌヴォワィヤジョンザンサンブル] または[ヌヴォワイヤジョン アンサンブル] 私達は一緒に旅行する

一般的に、演説や朗読などあらたまった場合にはリエゾンは多くなり、くだけた会話、日常会話ではより少なくなります。

 

また、一般に上流階級とされる人々の中には、これらの「どちらでもいいリエゾン」をするかしないかによって、相手が「知識人かそうでないか」の判断をするともいわれており、アカデミーフランセーズがリエゾンを「エレガンスの印」のように見なしているのもそのことに由来します。

 

リエゾンをしてはいけない場合

有音のhの前

les haricots [レアりコ] インゲンマメ

en haut [アンオー] 上に

 

数詞の huit, onze の前

les onze enfants [レ オンズァンファン] 11人の子供達

 

最後が発音しない子音で終わる単数名詞+形容詞

un sujet intéressant [アンスジェ アンテレッサン] 興味深い主題

un chocolat amer [アンショコラ アメーる] 苦いチョコレート

 

et の後

moi et Emilie [モワ エ エミリ]

 

特定の決まり文句

l’un ou l’autre [ラン ウ ロートる] どちらか一方


「必ずリエゾンをする場合」と「してはいけない場合」は、そうしなければ「フランス語の誤り」のように聞こえるので気を付けてください。それを除けばどちらでもいいということになっていますので、それほど気にすることはないでしょう。

けれども母音と母音がつながると発音がしにくいので、リエゾンをした方がなめらかに話せると思います。

Ils ont beaucoup aimé nos enfants. [イルンボクメノンファン]

彼らは私達の子供達をとても気に入った。

 

ところで上で書いたように、特定の階級出身の人々にとっては、リエゾンをきちんとすることが重要であるとされています。そのため、ブルジョワ階級出身で奥さんが貴族であったシラク元大統領の演説では、しばしばリエゾンのやりすぎが見られました。例えば:

Depuis un quart de siècle. 「四半世紀前から…」

という際に、

DepuiZ…(長い間)un quart de siècle. [デュピュイー….アンキャール]

のように、リエゾンでつなげるべき部分の前で長い間をとってしまうことが多くあったのです。

よく考えると、リエゾンがきちんとできると言うことは、その単語の綴りをちゃんとしっているということですよね。その点から言っても、フランス人の子供達が何時間も繰り返す dictée (書き取り)は、とても大切な練習だと思います。

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2件のコメント

  1. リエゾンをしてはいけないケースをしっかり覚えておかないといけませんね。ありがとうございました!

  2. シラク大統領の奥様の話には笑えました。
    笑っていないでリエゾンしない場合を私も覚えます。
    ありがとうございました

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