フランス語でリエゾンする場合としない場合の規則
フランス語を読むときに難しいのが、リエゾン (liaison) やアンシェヌマン(enchaînement)、エリズィヨン (élision) といった語と語のつながりです。特にリエゾンは、本来発音されない語末の子音字を、次に続く語の頭が母音の場合につなげて読むことですが、すべての語末の子音と次の語の母音をつなげれば良いかというと、そうでもありません。
ここでは、必ずリエゾンする場合と、どちらでも良い場合、してはいけない場合の規則を見てみたいと思います。
【リエゾンの例】 deux ans = 2年
かならずリエゾンをする場合
限定詞(冠詞、指示形容詞、所有形容詞、疑問形容詞、数詞など)+名詞
限定詞とは、名詞の前につけてその名詞を具体的に明示する(性や数など)語のこと。
冠詞+名詞
les amis [レザミ] 友人達
指示代名詞+名詞
cet avion [セタヴィオン] この飛行機
所有形容詞+名詞
mes idées [メズィデ] 私の考え
疑問形容詞+名詞
quels exercices [ケルゼグゼるスィス] どの練習問題
不定形容詞+名詞
certains individus [セるタンザンディヴィデュ]
形容詞+名詞 (形容詞が名詞の前に来る場合)
les beaux enfants [レボーザンファン]
数詞+名詞
deux hôtels [ドゥゾテル] 2つのホテル
主語人称代名詞+動詞
Nous avons… [ヌザヴォン] 私達は…を持っている
Ils arrivent. [イルザりーヴ] 彼らは到着する。
Arrivent-ils? [アりーヴティル] 彼らは到着しますか?
動詞 + 中性代名詞
Prends-en. [プランザン] それを取りなさい。
Allons-y. [アロンズィ] そこに行きましょう。
補語人称代名詞+動詞
Je les aime. [ジュレゼーム] 私はそれらが好きです。
一部の複合語
c’est-à-dire [セタディーる] つまり
de temps en temps [ ドゥタンザンタン] 時々
peut-être [プテートる] たぶん
リエゾンをしてもしなくてもどちらでもいい場合
être と 属語(形容詞や名詞)の間
C’est impossible. [セッタンポッシーブル] またはリエゾンせずに [セ アンポッシーブル]
C’est une montre. [セッチュンヌモントる] または [セ ユヌモントる]
複合過去の場合の 助動詞 (avoir/être) と過去分詞の間
Ils ont aimé [イルゾンテメ] または [イルゾン エメ]
前置詞のあと(特に前置詞が1音節の場合はどちらでもよい傾向が強い)
sous un arbre [スーザンナるブる] または [スー アンナるブる] 木の下で
sans un sous [サンザンスー] または [サン アンスー] 一文無しで
sous (~の下に)sans (~なしに)が両方とも1音節の前置詞です。
ただし、前置詞が複数音節の場合、しない場合が多い
pendant un siècle [パンダン アンスィエークル] 1世紀の間
pendant (~の間)[パン/ダン] と2音節の前置詞です。
副詞 ( très , plus, bien, tout) +形容詞、副詞
Très occupe [トレゾキュペ] または[トレ オキュペ] とても忙しい
pas encore [パザンコール] または[パ アンコール] まだ
名詞の複数形+形容詞
des enfants agréables [デザンファンザグレアブる] または[デザンファン アグレアーブル] 感じの良い子供達
des habits élégants [デザビゼレガン] または[デザビ エレガン] エレガントな服装
動詞+補語
ils vont à Paris. [イルヴォンタパリ] または[イルヴォン アパリ] 彼らはパリに行く。
nous voyageons ensemble [ヌヴォワィヤジョンザンサンブル] または[ヌヴォワイヤジョン アンサンブル] 私達は一緒に旅行する
一般的に、演説や朗読などあらたまった場合にはリエゾンは多くなり、くだけた会話、日常会話ではより少なくなります。
リエゾンをしてはいけない場合
有音のhの前
les haricots [レアりコ] インゲンマメ
en haut [アンオー] 上に
数詞のhuit, onze の前
les onze enfants [レ オンズァンファン] 11人の子供達
最後が発音しない子音で終わる単数名詞+形容詞
un sujet intéressant [アンスジェ アンテレッサン] 興味深い主題
un chocolat amer [アンショコラ アメーる] 苦いチョコレート
et の後
moi et Emilie [モワ エ エミリ]
特定の決まり文句
l’un ou l’autre [ラン ウ ロートる] どちらか一方
「必ずリエゾンをする場合」と「してはいけない場合」は、そうしなければ「フランス語の誤り」のように聞こえるので気を付けてください。それを除けばどちらでもいいということになっていますので、それほど気にすることはないでしょう。
けれども母音と母音がつながると発音がしにくいので、リエゾンをした方がなめらかに話せると思います。
Ils ont beaucoup aimé nos enfants. [イルゾンボクペメノザンファン]
彼らは私達の子供達をとても気に入った。
リエゾンをしてはいけないケースをしっかり覚えておかないといけませんね。ありがとうございました!