フランス語の命令法を覚えて、フレンチトーストのレシピを読んでみよう
フランス語のレシピは「切る」「混ぜる」「加える」などの決まった動詞しか出てこないので、一度覚えれば案外簡単に読めてしまいます。今日はフランス語のレシピでよく使われる動詞の時制「命令法」の作り方を覚えて、本場のフレンチトーストレシピを読んでみましょう。
フランス語の命令法の作り方
フランス語の命令法には
tu (きみ)に対する命令 (~しなさい)
nous (私達)に対する命令 (~しよう)英語の Let’s~ のような感じです。
vous (あなた、君たち)に対する命令 (~してください)
の3種類あります。
命令法の作り方の基本は
直接法現在形の文から、主語をとる
例えば
Tu Prends un café. コーヒーを飲みなさい。
Nous Prenons un café. コーヒーを飲みましょう。
Vous Prenez un café. コーヒーを飲んでください。
(tu の複数に対してであれば) コーヒーを飲みなさい。
否定命令の場合にも、直接法現在形の文章から主語を除くだけです。
Tu Ne prends pas de café. コーヒーを飲んではいけません。
ただし、-er 動詞、aller ouvrir 型の動詞の場合には、tu の命令法には最後にs がつかないので注意してください。(ouvrir 型の動詞は-er 動詞と同じ活用形をしているので、tu の活用の際には最後に -s がつきます)
travailler (-er動詞)
Travaille bien ! よく働きなさい(勉強しなさい)!
Travaillons bien ! よく働こう(勉強しよう)!
Travaillez bien ! よく働いてください(勉強してください)!
直接法現在形の活用では、 tu travailles のように最後にs が付きますが、命令法ではつかないので注意してください。
aller (~に行く)
Va à l’école ! 学校に行け!
Allons à l’école ! 学校に行こう!
Allez à l’école ! 学校に行ってください!
直接法現在形の活用では tu vas のように最後にs が付きますが、命令法ではつかないので注意してください。Vas-y! (行け!)は母音がつながるのを避けるためで例外
ouvrir 「–を開ける」
Ouvre la porte. ドアを開けろ!
Ouvrons la porte! ドアを開けよう!
Ouvrez la porte ! ドアを開けてください。
Ouvrirの直接法現在形の活用では tu ouvres のように最後にs が付きますが、命令法ではつかないので注意してください。
ただし、être, avoir の命令法は特別な形をとります。
tu | nous | vous | |
être | sois [ソワ] |
soyons [ソワイヨン] |
soyez [ソワイエ] |
avoir | aie [エ] |
ayons [エイヨン] |
ayez [エイエ] |
直接法現在形 | 命令法 |
Tu es gentil. きみは親切だ。
Vous avez du courage. あなたは勇気がある。 |
Sois gentil. 親切にしなさい。
Ayez du courage. 勇気を持ってください。 |
フランス語でレシピを読んでみよう
フランス語のレシピでは、動詞は不定詞(活用していない元の形)または命令法が使われます。命令法の場合には、必ず vous に対する命令法(~してください)が使われますので、見分けるのは簡単です。
フランス語の不定詞の使い方:指示、忠告、レシピ、マニュアルなどでの使用例
では、本場のフレンチトーストのレシピをご紹介しましょう。
Le véritable pain perdu (本場のフレンチトースト)
フレンチトーストはフランス語で ”pain perdu” と言います。perdu というのは「失われた、なくなった、駄目になった、無駄にした、道に迷った」という意味の形容詞ですが、もともとは固くなって食べられなくなったパン(駄目になったパン)を捨てることなく食べられるようにと考えられたのが、このレシピの始まります。その起源は古代ローマまでさかのぼるとも言われており、紀元前5世紀の書物には、輪切りにしたパンを牛乳にひたした後、油で揚げるというレシピが見つかっているそうです。
フランスでは食事のたびにかならずバゲットやパンドカンパーニュなど、何かしらのパンを食べます。けれどもお客さんが来た時などときどき買いすぎてしまって、次の日にはカチカチになることも。そんなときにこの “pain perdu” にすれば、その日のおやつの出来上がりです。
Ingrédients / pour 6 personnes
- 12 tranches de pain sec
- 3 œufs
- 250 ml de lait
- 30 g de sucre
- 1 sachet de sucre vanillé
- beurre
【材料(6人用)】
固くなったパン(バゲットなど)12切れ
卵 3個
牛乳 250ml
砂糖 250ml
バニラシュガー 1袋
バター
- Dans un bol, battez les œufs avec le lait, puis ajoutez les deux sucres.
- Trempez les tranches de pain dans l’appareil aux œufs, et mettez les dans une poêle sur feu moyen, avec une grosse noix de beurre. Faites cuire une à deux minutes sur chaque face, jusqu’à ce que le pain soit bien doré.
- Pour finir, servez encore chaud, saupoudré de sucre, ou accompagné de confiture.
太字の部分が命令法になっています。以下にそれぞれの動詞の不定詞を書いておきます。
battre かき混ぜる
ajouter 加える
tremper …を浸す
mettre 入れる
faire ~する faire cuire で、「焼く」
servir 食事を出す
cuire という動詞はそれ自体で 「火を通す、約、煮る、ゆでる、炒める」等の「何かの方法で加熱調理をする」という意味ですが、一般には faire (-する)という動詞と組み合わせて faire cuire と言う方が多いです。
それでは手順を訳していきます。
- Dans un bol, battez les œufs avec le lait, puis ajoutez les deux sucres.
ボールの中で卵と牛乳を混ぜ、2種類の砂糖を加えてください。
battre → 命令法 battez
ajouter → 命令法 ajoutez
2. Trempez les tranches de pain dans l’appareil aux œufs, et mettez les dans une poêle sur feu moyen, avec une grosse noix de beurre. Faites cuire une à deux minutes sur chaque face, jusqu’à ce que le pain soit bien dorée.
卵の材料のなかに輪切りにしたパンを浸し、次にそれをクルミ大の大きさのバターの大きな塊と一緒に中火で熱したフライパンにのせてください。パンがこんがり焼けるまで、それぞれの面を1,2分間焼いてください。
tremper → 命令法 trempez
mettre → 命令法 mettez
faire → 命令法 faite
ここの “appareil” という単語は、通常「器具、装置」という意味ですが、料理用語では「卵、牛乳、小麦粉などを混ぜ合わせた材料」のことを言います。後ろに 前置詞のàを置いて、例えば
appareil à soufflé は「スフレの種」
という意味になります。
noix は「クルミ」という意味の名詞ですが、une noix de beurre といえば「クルミ大のバターの塊」というような意味になります。
ちなみに une noisette de beurre という表現もあり、noisette はヘーゼルナッツという意味ですが、「クルミ大」とか「ヘーゼルナッツ大」とか、いったい具体的に何グラムなの??と聞きたくなりますよね。
一般的に
une noix de beurre =15g
une noisette de beurre =4g
とされています。
jusqu’à ce que+接続法 …するまで
jusqu’à ce queの後には必ず動詞の接続法をもってきますので、ここでもêtreの接続法のsoit になっています。
3. Pour finir, servez encore chaud, saupoudré de sucre, ou accompagné de confiture.
最後に、砂糖をかけたりジャムを添えて、熱いうちにいただきます。
servir → 命令法 servez
命令法は tu, nous, vous の3つしか活用がなく、以外に簡単です。しかもレシピでは「vous に対する命令法」しか使われませんので、辞書も引きやすいと思います。
ぜひフランス語でいろいろなレシピを読んでみてください。
私がいつも使っているフランスのレシピサイトは:
です。
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いつも素晴らしい解説に感動しながら拝見してます。
今日のフレンチトーストの作り方、大変勉強になりました。興味があるお料理だと頭に入りやすいと思いました。
お料理に使われる単語も解説もわかりやすくてよかったです。
それとマカロン大統領の150周年のスピーチYouTubeでみました。単語を所々拾える程度で詳しくはわかりませんが、素敵なフランス語に酔いしれてしまいます。
理解できるようになる日を夢見てます。
Bonjour!
おっしゃる通り、自分の興味のある分野のフランス語を読むのが、
続くし、やる気もでます。
レシピは結構簡単に読めますので、今度またご紹介しますね。
YOUTUBE で基礎をある程度習得しているので分かりやすいです。内容も実用的で助かります。なおMAILにある家族間のやり取りはもっと面白くかつ実用的です。