フランス語の名詞の性別の見分け方

最終更新日:2020年3月18日

フランス語の名詞には必ず「性」があります。「父親」「母親」「息子」「娘」「牡牛」「牝牛」など生物学的な性を持つ場合には、男性なら男性名詞、女性なら女性名詞となりますが、無生物や抽象名詞などもどちらかの性に分類されるのがややこしいですよね。ちなみにフランス語には中性はありません。

よく「どうやったら名詞の性を覚えられますか?」と質問されますが、私は名詞と一緒に音で覚えます。例えば:

un stylo  [アンスティロ] :ペン (男性名詞)

une table [ユンヌターブル] :テーブル (女性名詞)

un gâteau [アンギャトー] :ケーキ (男性名詞)

une baguette [ユンヌバゲット] :バゲット (女性名詞)

こうやって名詞と共にひとつの音として覚えると、違った性の冠詞をつけてしまった時に「あれっ?」と思います。un table 「アンターブル??」いや違った、une table 「ユンヌターブルだ」。フランスの幼児用の本にも名詞と冠詞が一緒に載っているので、やはり最初からひと固まりにして性別ごと覚えるのでしょうね。

しかし嬉しいことに、名詞の語尾や種類によっておおよその性別が分かる場合があります。ここでは名詞の性別の見分け方について見ていきたいと思います。

語尾でフランス語の名詞の性別を見分ける方法

以下の語尾で終わる名詞は、男性名詞である場合が多いです。

-ism journalisme(ジャーナリズム), protectionnisme (保護貿易主義), nationalisme(ナショナリズム、国家主義)
-ment mouvement (動き), sentiment (感情), étonnement(驚き)
-age voyage (旅行), éclairage (照明), courage (勇気), mariage (結婚), ouvrage (作品), passage (通路)

*ただし以下の名詞は女性名詞
une page (ページ), une image (イメージ), une plage (浜辺), une cage (おり、鳥かご), la nage (泳ぎ), la rage (激怒)

-(e)au bureau (机、オフィス), noyau (種), bateau (船), château (城), tonneau (樽)
*ただしeau (水)は女性名詞
-oir soir (夜), tiroir (引き出し), peignoir (バスローブ), couloir (廊下), espoir (希望), comptoir (カウンター)
-et paquet (小包), bonnet (縁なし帽), cabinet (事務室、小部屋), bouquet(花束), hoquet (しゃっくり)
-fice édifice (建造物) , sacrifice (犠牲)artifice(戦略、技巧)maléfice(呪文、魔力)

 

以下の語尾で終わる名詞は、女性名詞である場合が多い

-té qualité(品質,)beauté(美), bonté(親切, charité(慈悲), fatalité(宿命), générosité(寛容), honnêteté(誠実), liberté(自由), possibilité(可能), réalité(現実), vérité(真理)
-ion question(質問), action(行為), confession(告白), impression(印象), intention(意向), nation(国民), négation (否定), satisfaction(満足)
-eur fleur (花), blancheur(白さ), chaleur (暑さ), douceur(甘さ), erreur(誤り), fraîcheur (さわやかさ), froideur(寒さ), hauteur(高さ), largeur(幅), longueur (長さ), profondeur(深さ), rougeur (赤さ)
-ie démocratie(民主主義), diplomatie(外交), folie(狂気), jalousie(嫉妬), maladie(病), mélancolie(憂鬱), nostalgie(ノスタルジー), philosophie(哲学), psychologie(心理学), sympathie(共感)
-ure fermeture(閉めること), couture(裁縫), créature(被造物), écriture(文字), peinture(絵画), sculpture (彫刻), usure (損耗)
-esse richesse(富), délicatesse(デリカシー), faiblesse(弱さ), sagesse(知恵), souplesse(しなやかさ)
-ette raquette(ラケット), chaussette(靴下), chemisette(半そでシャツ), moquette (カーペット) , canette (ジュースなどの缶)
-ance, -ence expérience(経験) , abondance (豊富), alliance(同盟), espérance(希望、期待), absence(欠席), concurrence(競争), essence(本質), présence(出席), prudence(慎重さ), silence(静寂), balance(バランス)
-étude, itude gratitude(感謝), habitude(習慣), inquiétude(不安), lassitude(疲労), multitude(多数、群衆), solitude(孤独)

このように見ると、「美」「自由」「心配」など抽象名詞(目に見えないような概念上の事柄を表す名詞)の多くが女性名詞であることが分かります。

 

他品詞から転化したものは男性名詞

形容詞、動詞、副詞などから名詞に転化した場合には、男性名詞になります。

le beau (美)← 形容詞 beau

le vrai (真実)←形容詞 vrai

le  moi (自我)←代名詞 moi

le savoir (知識)←動詞 savoir

le bien (善)←副詞 bien

le mal (悪)←副詞 mal

le pour (賛成)←前置詞 pour

le contre (反対)←前置詞 contre

le va-et-vient (往来)←動詞の allerと venir

月名、曜日名、四季、方位、単位、金属名は男性名詞

月の名前、曜日、四季、方位、単位、金属名は男性名詞です。

le janvier(一月), l’octobre(10月), le lundi(月曜日), le dimanche(日曜日), le printemps(春), l’été(夏), le nord(北), l’ouest(西), le gramme(グラム), le litre(リットル), l’or(金), l’argent(銀)

意味によって性別が変わる名詞

また、同じつづりの名詞でも性別によって意味が異なる場合があります。

男性名詞 女性名詞
un livre de grammaire
本(文法の本)
une livre de tomates
半キロ(トマト半キロ)
un manche de couteau
取っ手(ナイフの柄)
une manche de robe
袖(ドレスの袖)
un voile de mariée
ベール(花嫁さんのベール)
une voile de bateau
帆(船の帆)
le mode subjonctif
方式、法(接続法)
la mode des années 60
流行(60年代の流行)
le Tour de France
一周、ツアー(ツールドフランス)
la tour Eiffel
塔(エッフェル塔)
le poste de TV
テレビ、地位、ポスト
la poste
郵便局
un mémoire de maîtrise
研究報告、論文(修士論文)
la mémoire d’enfance
記憶、思い出(子供の頃の思い出)
un vase
花瓶
la vase
un poêle 
ストーブ
une poêle
フライパン
le physique
肉体、容姿
la physique
物理学

例外はありますが、以上のことを覚えておけば男性名詞か女性名詞かがなんとなくわかってきます。とはいっても、美術館 (musée) は男性名詞で駅 (gare) は女性名詞、木 (arbre) は男性名詞で森 (foret) は女性名詞というように、たいていの無生物の性は単なる文法上の約束でしかありませんので、理屈ぬきに覚えるしかありません。

ところでこのフランス語の性別は、昨今さまざまな物議をかもしだしています。例えば “ministre (大臣)” が本来男性名詞であるため、女性大臣のことも “Madame le ministre” と呼んでいたのですが、「”Madame la ministre” と呼ぶべきだ」との意見が多く出たために、今では”Madame la ministre”と呼ぶようになりました。

私としては、”médecin(医者)” “compositeur(作曲家)” “écrivain(作家)” “ingénieur(エンジニア)”のように、男女の区別がない職業名はたくさんあるのだから、”ministre”も”le”のままでよいと思うのですが。というより、もともと名詞や形容詞の区別をféminin(女性), masculin(男性)と名付けてしまったのが間違いで、単なる”genre(種類)”として、「α(アルファ)」「β(ベータ)」にでもすればよかったのに、と思います。そうすれば「言語の世界までも、男性(男性形)が女性(女性形)よりも優勢である」 というような議論をせずにすんだではないでしょうか。例えば「リンゴ (pomme)、オレンジ (orange) はアルファ」で「レモン (citron)、キウイ (kiwi) はベータ」のように。どの名詞がどっちのgenreに入るかはまったく恣意的なものなのですから。

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