devoir と falloir「~しなければならない」

最終更新日:2021年4月7日

フランス語で「~しなければならない」という場合、2つの表現を使うことができます。

DEVOIR + 不定詞 (infinitif)

 

FALLOIR + 不定詞 (infinitif)

Je dois payer mes impôts. 
私は税金を支払わなければならない。

Il faut manger pour vivre.
生きるために我々は食べなければならない。

どちらも日本語に訳すと「~しなければならない」という意味になりますが、果たしてこの2つに使い分けはあるのでしょうか?

 

devoir + 不定詞 = 義務(~しなければならない)

devoir は「~しなければならない」という意味の動詞の他に、名詞の「devoir : 義務(男性名詞)」もあることから、「devoir + 不定詞」の意味は「(義務として)~しなければならない」だといえるでしょう。

Je dois payer mes impôts.  私は税金を払わなければならない。(義務)

 

Je dois m’en aller. 私は行かなければならない。(義務)

 

falloir + 不定詞 = 一般的な必要性(~する必要がある)

上の devoir とは違い、falloir は「非人称の il」でのみ使われます(il を「彼」とは訳しません)。ですので、直接法現在形では

Il faut + 不定詞

の形でしか使われません。

falloir の基本的な意味は「…が必要である」で、例えば:

Il faut 20 minutes pour aller à la gare.
駅に行くには20分必要だ(20分かかる)。

のように使うことができます。これを「il faut +不定詞」の形を使う場合、「~しなければならない」と訳しますが、基本の意味から考えると「(必要によって)~しなければならない」という解釈になるでしょう。

Il faut manger pour vivre. 我々は生きるために食べなければならない。
(生きるために食べる必要がある


このように見ると「devoir + 不定詞」も 「falloir +不定詞」も、2つとも意味は「~しなければならない」ですが、それぞれの基本の意味から解釈すると、

devoir + 不定詞 = 義務による「~しなければならない」

 

falloir + 不定詞 = 一般的な必要性による「~しなければならない」

だということになります。けれども実際には、このような使い分けをしているのでしょうか?

「devoir + 不定詞」と「falloir + 不定詞」はどう使い分ける?

実際には、「義務」なのか「必要」なのかという使い分けは、ほとんどされていないと思います。例えば :

Il faut manger pour vivre. 我々は生きるために食べなければならない。

という、一般的な必要性を表す 「il faut + 不定詞」の表現は、

On doit manger pour vivre.  人は生きるために食べなければならない。

という「不特定の人をしめす On」を使えば、devoir でも全く同じ意味を表すことができます。

 

また、

① Je dois acheter du pain.  私はパンを買わなければならない。

 

② Il faut acheter du pain.  パンを買わなければならない。

の場合にも、基本的な意味は「パンが必要だから、買わなければならない」で同じです。これらの使い分けをするならば、①は「私が、買わなければならない」と言いたい場合。②は、誰でも構わないがとにかく「パンを買わなければならない」と言いたい場合でしょう。

けれども①の主語の Je を変えて、

③ On doit acheter du pain.

というように「不特定の人をしめす On」を使えば、②も③も同じ意味になります。

ですので、

Il faut + 不定詞 = On doit + 不定詞

と考えて、どちらを使っても意味に違いはないでしょう。

Il ne faut pas… / On ne doit pas… 「…してはならない」

では、これらが否定形になるとどうでしょう。

Il ne faut pas s’asseoir sur la pelouse.  芝生の上に座ってはならない。

 

On ne doit pas s’asseoir sur la pelouse.  芝生の上に座ってはならない。

これらは同じ意味で使えます。

また、 pouvoir は「~できる」という意味でよく使いますが、「~してもよい」という「許可・権利」を表す意味も含みますので、

On ne peut pas s’asseoir sur la pelouse. 芝生の上に座ってはならない。

とすれば、上の2つと同じ意味になります。したがって

Il ne faut pas + 不定詞

= On ne doit pas + 不定詞

= On ne peut pas + 不定詞

は、どれを使ってもほぼ同じ意味になりますので、使い分けを気にする必要はありません。


ただし、「Il faut +不定詞」は非人称の il でしか使えないため、主語を限定して「誰々が○○をしなければならない」と言えません。Il faut を使って義務を果たさなければならない主語を特定したい場合には、

il faut que + 主語+接続法

という形にして、主語を挿入します。ここで、que 以下の従属節には接続法を使う必要がありますが、接続法についてはまた別のコラムで説明したいと思います。

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