宿題、もうすぐ終わったよ!: J’ai bientôt fini mes devoirs !

最終更新日:2020年3月5日

日仏バイリンガルの子がよく「もうすぐ終わった」と言う表現をします。「もうすぐ終わる、だよ」と訂正するのですが、これはフランス語の ”J’ai bientôt fini.”を日本語に直訳するために起こる間違いでしょう。

“avoir fini” は複合過去ですので、通常は「すでに過去に終わった事柄」を表現する時に使います。

例えば

J’ai fini de manger.

と言えば、「私はすでに食べ終わった。」という過去に終わったことを表しています。

ところがフランス人は、この複合過去に ”bientôt (もうすぐ)”という未来の副詞をつけるのです。私の頭の中では「もうすぐ=未来」という概念があるため、どうしても動詞の複合過去と一緒には使えません。ですから、「もうすぐ終わる」と言いたい時にはたいてい

“Je finis bientôt.” (私はもうすぐ終える)

“Je vais finir bientôt.” (私はもうすぐ終えるつもりだ)のように、

現在形や近接未来を使って表現しがちです。

 

けれどもネイティブのフランス人は、明らかに

“J’ai bientôt fini.”

と複合過去で言う場合の方が多いです。

 

どうしてこのように未来の副詞と複合過去を混ぜることができるのか、3つのパターンが考えられます。

  1. 暗に “je pourrai dire bientôt (もうすぐ~と言える)” がついているから
  2. bientôt(もうすぐ)は presque(ほぼ)という意味で使っているから
  3. 「終わった」という状態に向かう最中だから

 

暗に “je pourrai dire bientôt (もうすぐ~と言える)” がついているから

1)bientôt(もうすぐ) という副詞の中に “Je pourrai dire bientôt(もうすぐこう言えるでしょう)” という意味が暗に込められていると考えられます。ですから、

Je pourrai dire bientôt ”j’ai fini”. 私はもうすぐ「終わった」と言えるでしょう。

という意味となり、未来に言うであろう「終わった」という複合過去形と共に使うことができるのです。

bientôt(もうすぐ)は presque(ほぼ)という意味で使っているから

bientôt (もうすぐ)は presque(ほぼ) という意味で使っていると考えると、

J’ai presque fini.  私はほぼ終わった。

と言い換えることができ、複合過去を使うことができます。

「終わった」という状態に向かう最中だから

「終わった」という状態に向かっている最中なので、「もうすぐその状態(終わった状態)になる」という意味で複合過去を使う、と考えることができます。

J’ai bientôt fini. 私はもうすぐ「終わった」という状態にむかっているところだ。


別の例文でも見てみたいと思います。

Je suis bientôt arrivé à la fac.  私はもうすぐ大学に到着する。

上のように3つの考え方で解釈してみると、

  1. Je pourrai dire bientôt “Je suis arrivé à la fac.  私はもうすぐこう言えるでしょう「大学についた」=私はもうすぐ大学に到着する。
  2. Je suis presque arrivé à la fac.  私はほぼ大学についた=私はもうすぐ大学に到着する。
  3. 「到着する」という状態に向かっている最中:もうすぐ「到着した」という状態になる=私はもうすぐ大学に到着する。

 

この文章を日本語に訳そうとすると、J’ai bientôt fini. も Je suis bientôt arrivé à la fac. も「もうすぐ」という副詞があるために「もうすぐ終える」「もうすぐ到着する」と現在形で訳さないとおかしな文章になってしまいますが、 フランス語のままで考えるのであれば、上記の3つのような考え方をして、「もうすぐ」を複合過去と同じ文章の中で使ってもおかしくないわけです。

 

しかし、すべての動詞で「もうすぐ」と複合過去が使えるかというとそうではなく、例えば

J’ai bientôt mangé.   私はもうすぐ食べた。

はおかしな感じで

J’ai bientôt fini de manger.  私はもうすぐ食べ終わる。

のように “finir(終える)”とくっつけるか、

Je vais bientôt manger.  私はもうすぐ食べるつもりだ。

と近接未来にするか、のどちらかになると思います。

ですから「終える」や「到着する」のように、どこかからある目的地に向かっている動詞の場合には、複合過去形でも「もうすぐ」と一緒につかえるようです。

ちなみに J’ai bientôt fini. を英語に訳してみるとやはり、

I am about to finish.

I am just finishing.

となりますから、「終わった」という地点に向かっている様子がよく分かります。

フランス人でも、 “J’ai bientôt fini.” という時もあれば ”Je vais bientôt finir.”と言う時もありますが、”J’ai bientôt fini.”という時は特に「もうじき終わる!!(=早く終わりたい!)」という気持ちが強いのかもしれません。近接未来を使うと「まだ終わるには少しかかる」けれども、複合過去なら「気持ちの上ではもう終わっている」。だから子供達は「宿題、もうすぐ終わった!!」というのかもしれませんね。

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