フランス語の「電話をする」”téléphoner” と”appeler”の違いとは?
フランスで「誰々に電話をする」と言いたい時、2つの動詞が考えられます。
- téléphoner [テレフォネ]
- appeler [アプレ]
どちらの動詞も「~に電話をする」ですが、決定的な違いがひとつあります。それは、動詞の後に前置詞の « à » が入るかどうかです。
Je téléphone à Michel. 私はミッシェルに電話をする。
J’appelle Michel. 私はミッシェルに電話をする。
téléphoner は後ろに間接目的語をとるために、「à 誰々」となりますが、appeler は直接目的語をとる動詞なので直接「誰々」をもってきます。
やっかいなのは、日本語で訳す場合に「誰々に電話をする」というように「に」が入っていることです。日本語で「誰々に」と訳す場合、我々はどうしても « à »をつけたくなりますが、外国語にする場合には「に」は« à »と訳さない場合もあるので気をつけてください。
ちなみに “appeler” は「誰々に電話をする」の他に「~を呼ぶ」という意味もあります。
Il a appelé la police. 彼は警察を呼んだ。
interroger 誰々 (誰々に質問する)
例えば、「~に尋ねる、質問する」というフランス語の動詞に
interroger
がありますが、これも直接目的語をとる動詞のため、日本語で訳すと「に」がつきますが、 フランス語の動詞の後には « à »は入りません。
L’examinateur a interrogé un candidat. 試験管は受験者に質問をした。
このように、« interroger » の後には直接 « un candidat » を置きます。
questionner 誰々(誰々に質問する)
また interroger と同じく「~に質問する」という意味の別の動詞に、
questionner
という動詞があります。
Le professeur a questionné les élèves sur leurs connaissances
de cette région. 先生は生徒にこの地方の知識について質問した。
”interroger” も後ろに直接目的語をとるので、 « à »は入れずに直接 « les élèves » をもってきます。
もう一つ、同じく直接目的語をとる別の動詞を見てみましょう。
consulter 誰々(誰々に相談する)
Je consulterai mon avocat avant de signer le contrat.
私はその契約書にサインをする前に、弁護士に相談するでしょう。
この “consulter (~に相談する)”も、後に « à »は入れずに直接目的語をとります。
demander à 誰々(誰々に尋ねる)
一方で、demander (~を求める、~に…を尋ねる)は、
Elle a demandé l’addition à un garçon.
彼女はウェイターに勘定を頼んだ。
のように、 « à 誰々»となります。
以上のように、外国語の動詞を学ぶ際には、該当する日本語では「~に」というからといって、自動的に « à »にあたる前置詞が入るとは限りませんし、また「~を」と訳すからといっていつも直接目的語をとるとは限りません。
例えば私が驚いた動詞に、スペイン語の「~を助ける ayudar」という動詞があります。フランス語とスペイン語はどちらも語源がラテン語ということもあって使い方がよく似ているのですが、「助ける」という動詞を、フランス語の
« aider quelqu’un » (~を助ける)や、英語の
« help someone » と同じだと考えて、うしろに直接「誰々」を持ってきて
« ayudar alguien » としたら、それは間違いになってしまいます。
スペイン語では正しくは
Ayudo a un amigo. (私は友達を手伝う)
のように、”ayudar a 誰々” というのです。
スペイン語では「助ける」という動詞の後に人がくる場合には、 « a » が入ります。 フランス語でも英語でも「助ける」の後ろには前置詞を置かずに直接目的語を入れるので、このようにスペイン語では間接目的語をとるというのは最初とても不思議な思いがしました。しかしよく考えてみると、例え語源が同じ言語の間でも100%使い方が一致するとは限らないのです。
ですので、動詞を覚える際にはうしろに直接目的語をとるのか、前置詞をはさんで間接目的語をとるのかも、一緒に覚える必要があります。また、「~に」や「~を」というように逐一日本語に訳して覚えるのではなく、外国語そのままで覚えることも大切でしょう。日本の受験勉強に慣れている日本人にとっては慣れないことでしょうけれども、すべてを別の言葉に訳さなければならない通訳、翻訳者でない限り、単語の意味は「あたまの中で抽象的なままで置いておく」というのも外国語上達の鍵だと思います。そうすれば、「誰々に=à 誰々」と覚えてしまうこともなくなるでしょうから。
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