フランス語の複合語の複数形 “des chou-fleurs ou des choux-fleurs?”

最終更新日:2021年2月19日

フランス語には、2,3個の言葉がくっついて1つの名詞になっている語があります。

例えば:

un chou-fleur  カリフラワー

une pomme de terre じゃがいも

un tire-bouchon  栓抜き

私が面白いと思う複合語には、

un lève-tôt  早起きの人

un couche-tard 遅寝の人

などがあります。

 

これらの複合語が複数形になった時、「どこに”s”をつければいいんだろう」と思いませんか?

des chou-fleurs?

des choux-fleurs?

ここでは、複合語の複数形の作り方について見ていきたいと思います。

フランス語の複合語の種類

ひとことで「複合語」といってもさまざまな種類があり、それぞれ複数形の作り方が異なります。

NOM+NOM (名詞+名詞)からなる複合語

un chou-fleur カリフラワー(キャベツ+花)

un wagon-lit 寝台車 (車両+ベッド)

このように「名詞+名詞」の組み合わせで作られる複合語を複数形にする場合には、両方の名詞ともに複数形にします。

des choux-fleurs   (-ouで終わる名詞を複数形にする場合には « x »をつける)

des wagons-lits

ただし、次の言葉は例外です。

un timbre-poste   →   des timbres-poste  (des timbres de la poste/郵便のための切手)=郵便切手

une station-service  → des stations-service (stations pour le service/サービスのための駅)=ガソリンスタンド
une pause-café  → des pauses-café (des pauses pour prendre un café/コーヒーを飲むための休憩)=コーヒーブレイク

上記の3つについては、後ろの名詞の前に「~の」や「~のための」という意味が隠されているため、複数形になっても後ろの名詞には «s»をつけません。

VERBE+NOM (動詞+名詞)からなる複合語

「動詞+名詞」で作られる複合語は数多くあります。

un porte-monnaie porter=持つ、monnaie=お金  「小銭入れ」
un tire-bouchon  tirer=引っ張る、bouchon=栓 「栓抜き」
un chasse-neige  chasser=狩る、追い払う、neige=雪 「除雪車」
un couvre-pieds  couvrir=覆う、pied=足 「装飾用ベッドカバー」
un presse-fruit   presser=絞る、fruit=果物 「果汁絞り器」
un casse-têtes   casser=壊す、tête=頭  「知恵の輪、頭脳パズル、ジグソーパズル」

「動詞+名詞」からなる複合語の場合、複数形になっても動詞の部分は不変で、名詞は意味によって複数形の “s”をつける場合とつけない場合があります。

un porte-monnaie → des porte-monnaie (「お金」は数えられない名詞として不変)

un tire-bouchon → des tire-bouchons

un chasse-neige → des chasse-neige (「雪」は数えられない名詞なので不変)

un couvre-pied →  des couvre-pieds

un presse-fruit →  des presse-fruits

un casse-tête → des casse-têtes

 

ただし以下の語は、最初から名詞は複数形のままで、不変です。

un sèche-cheveux, des sèche-cheveux ドライヤー

un porte-avions, des porte-avions 航空母艦

NOM+ADJECTIF、 ADJECTIF+NOM
(名詞+形容詞または形容詞+名詞)からなる複合語

名詞に形容詞がくっついて、ひとつの言葉になる場合もあります。

un coffre-fort   coffre=蓋つきの大箱、fort=強い 「金庫」
une grand-mère   grand=大きな、 mère=母親  「祖母」
un beau-frère    beau=美しい、義理の、  frère = 兄弟  「義理の兄弟」
une longue-vue    longue=長い(longの女性形)、vue=視力、眺め  「望遠鏡」

このような複合語の場合には、形容詞も名詞も複数形をとります。

des coffres-forts
des grands-mères
des beaux-frères
des longues-vues

ただし、最初の言葉が “-o”で終わる場合には、その言葉は変化しません。

un micro-onde →  des micro-ondes  「電子レンジ」
un anglo-saxon  →  des anglo-saxons  「アングロサクソン人の」

ADVERBE+NOM (副詞+名詞)からなる複合語

副詞と名詞がくっついた複合語をみてみましょう。

une arrière-boutique   arrière=後ろの、boutique=店 「店の奥の間」

un avant-garde    avant=前、garde=監視、見張り番 「前衛、アヴァンギャルド」

「副詞+名詞」からなる複合語が複数形になる場合には、副詞の部分は不変のままです。

des arrière-boutiques

des avant-gardes

NOM+PRÉPOSITION+NOM(名詞+前置詞+名詞)からなる複合語

une pomme de terre 「じゃがいも」が複数形になると、最初の名詞のみが複数形の形をとります。

un arc-en-ciel 「虹」も、”arc” のみが複数形になります。

une pomme de terre → des pommes de terre

un arc-en-ciel → des arcs-en-ciel

また、fruits de mer 「貝やエビなどの類(魚は入らない)」の”fruits”は最初から複数形で、不変です。

un fruits de mer,   des fruits de mer

VERBE+VERBE (動詞+動詞)からなる複合語

「動詞+動詞」でひとつの語になっている場合もあります。

un savoir-vivre   savoir=知る、vivre=生きる 「礼儀作法、社交術」
un va-et-vient   va=aller 行く、vient=venir 来る 「往来」
un laissez-passer  laissez=laisser ~を残す、passer = 通る「通行許可書、フリーパス」

これらの複合語は、複数形の形もこのままで不変です。

des savoir-vivre
des va-et-vient
des laissez-passer


このようにフランス語ではたくさんの複合語があり、トレデュニオン”-“で語と語をつなぐことで、新たな複合語を作ることができます。ちなみに、un couche-tôt(遅く起きる人)や un lève-tôt(早起きの人)は「動詞+副詞」の複合語ですが、複数形になっても形は不変です。

余談ですが、うちの子は赤ちゃんの時に非常に車酔いをする子でした。車にのって走り出すやいなやいつも「オえっ」とやっていたので、とうとうフランスの従妹たちが彼にあだ名をつけ、

vomit-tôt (すぐに吐く人)

「ヴォミトくん」と呼ばれていました…。(ちなみにこれは、複数形も形は不変ですね!)

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